最高益連続更新のトリケミカル、増産で描く成長の青写真
山梨・上野原市の工業団地に点在する設備は拡張スペースがない。先端半導体を生産拡大する顧客向けの製品需要増を見越し、早期対応に迫られた。中央高速道路で小一時間の距離にある南アルプス市に新工場の用地を取得(正式契約はまだ)。写真は上野原工業団地の主要施設(記者撮影)
半導体超微細加工に必要な特殊化学材料を製造販売するトリケミカル研究所(4369)の前2023年1月期の業績は、計画していた数値を達成したもようだ。想定より円安が進行した上振れ効果が大きい。 会社が公表している見通しは、売上高136億円(前期比17.5%増)、営業利益36億2100万円(同21.7%増)、経常利益66億4800万円(同25.6%増)、純利益51億9300万円(同26.8%増)。韓国や台湾にある先端半導体工場向けの輸出を伸ばす戦略が当たったことで、過去最高益を連続更新中だ。営業利益よりも経常利益の増加率が高いのは、為替差益の拡大と、韓国大手SKグループとの現地合弁(トリケミカル研究所35%出資)が利益を伸ばしたから。 ただ、株価は、2年前の2021年2月から3月にかけて増資(約50億円) と株式4分割を実施して以降、ジリ安基調に歯止めがかからない。2021年1月14日にピークの5042円(分割考慮後)をつけた後とくらべると、現時点で時価総額は4割減少した。「着実に業績を上げているのに、昨年の半ばから半導体の雰囲気が悪いので、本当に成長が続くのかと質問される」(太附聖社長)。
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古庄 英一