家は無事でも…断水して1年「水が来ないから、集落はバラバラになってしまった」
耐震管を使うなど最大規模の地震に耐えうる主要水道管の割合「耐震適合率」は2022年度末、全国平均の42・3%に対し、石川県は37・9%。珠洲市は37%だった。国は28年度までに全国すべてで6割以上とする目標を掲げるが、自治体の財源不足などで工事が進んでいないのが現状だ。
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そんな中、井戸が注目されている。国は今回の地震を踏まえ、災害時の代替水源として地下水の活用を促すためガイドライン策定に着手した。奥能登では住民同士で民家の井戸を活用した事例があった。
国交省は過疎地の集落や世帯ごとに独立して水を供給する小規模分散型システムを、来年度から試験的に能登6市町で始める。井戸水や雨水を浄化して使う想定で、水道施設の復旧を待たず水を供給できる。
大阪公立大の遠藤崇浩教授(環境政策)は「井戸は災害時の水源という視点では有効。公園などに井戸を掘るのも一つの手」とした上で、「まずは国や自治体は水道管の耐震化と、水道管に被害が出た場合に備えて管路の複線化を進めることが必要だ」と指摘する。
住めるのに住めない――。断水が地域のつながりをも断つことのないよう、国や自治体は複合的な備えが求められる。