【闘病】褐色細胞腫とは? 「更年期障害」だと思っていたら開腹手術をすることに
手術によって悩まされていた症状から解放される
編集部: 症状が現れてから、生活にどのような変化があったのかも教えていただけますか? てんこさん: 発作はなぜ出るのか、いつ出るのか分からず苦しかったです。「更年期障害も個人差があるから……」と言われて我慢するしかなく、それも辛かったです。 更年期障害に良いというものを色々試すこともありました。ひどい発作の時は呼吸もできないくらいで、何度も救急車を呼ぼうかと思いました。 編集部: てんこさんの現在の体調や日常で注意していることなども教えていただけますか? てんこさん: 体調に関しては、手術して腫瘍を取ってから発作は全く出ていません。食欲もあり、体重も徐々に戻ってきています。手術では左副腎の一部を取っただけなので、ホルモンにも支障なく、特に飲んでいる薬もありません。 傷の痛みも痛み止めなしで我慢できる程度なので、近いうちに仕事に復職したいとも考えています(取材時)。ただ、褐色細胞腫には遺伝性の物が2割程あるらしいので、子ども達のことを考え、今度大学病院で調べる予定です。 編集部: 食べてはいけない物がいくつかあったそうですね。 てんこさん: はい。バナナ・柑橘類・パイナップル・チョコレート・バニラ・コーヒー・カフェインの入っている飲み物などを口にすると、ホルモン検査に影響が出るため制限が必要でした。 編集部: てんこさんの治療中の心の支えは何でしたか? てんこさん: とにかく、発作の原因が分かったことが嬉しく、それが治療中の喜びでした。手術したら症状から解放されると思うと傷の痛みも我慢できました。また、好きな物を好きなだけ食べられるようになりたいという想いです。
健康診断を過信せず、違和感はとことん検査することが大切
編集部: 褐色細胞腫はあまり知られていない病名だと思います。褐色細胞腫を知らない人に向けて、メッセージをお願いできますか? てんこさん: 頭痛や動悸には色々な原因があります。頭や心臓だけでなく、一度全身を検査してみてほしいです。褐色細胞腫は、発作の時以外は血圧や心電図に異常は出ないのでなかなか分かりにくい病気です。 血液検査でも、血糖値が少し上がっていましたが、手術後に正常に戻りました。しかし、放っておくと脳出血や心不全を引き起こしたり、精神症状が出たりすることもあるそうです。 一見するとわかりにくいですが、同じ症状に当てはまる方は病院で腹部エコー検査を含め、精密検査を受けていただきたいです。 編集部: てんこさんの体験を通して、これからの医療従事者に期待することはありますか? てんこさん: GISTと言われていたものが褐色細胞腫と分かったのは、私の話をよく聞いてくれた医師達がいたおかげだと思います。治療にあたってくれた医療従事者の方には、大変感謝しています。 編集部: 最後にてんこさんが伝えたいことと、読者の方へ向けてのメッセージをお願いします。 てんこさん: 自分も周りも含め、50歳前後の女性は身体に不調があると「更年期障害」と考えがちですが、そういう思い込みはしない方がよいと思います。健診を大事にしてください。普段健康でも1年に1回は健診を受けるようにしましょう。 今までの私がそうだったのですが、職場で採血と心電図、胸部X線はしているからと安心しないで下さい。特に腹部エコーは大事です。また、病院で診断されても「何か違う」と感じたらとことん調べるか、セカンドオピニオンを受けた方がいいと思います。