結局、人生の悩みの原因は人間関係――「生きづらさ」を抱えた鶴見済が到達した「こまめにあきらめていく」境地
この5月で58歳になった。この年まで生きているとは想像もしていなかった。 「死にたいと思ってた時期が結構あるんで、こんなに長生きするとはね。でも、『死にたい』と同時に、生きづらさを減らそうと努力するのも好きなんですよ。そういうことをいろいろ研究したり、四苦八苦したりしながらやってきたという感じで。先のことを考えるよりも、その都度その都度、悪戦苦闘をしているうちに、気づいたらここまで来ていたという感じですね」
かつて「いざとなれば自殺してしまってもいいと思えば、苦しい日常も気楽に生きていける」と提唱した男は、「あきらめ」の先にある楽観を利用して人生をやりすごすという境地に至った。 「楽に生きることばかり言ってるんですが、せっかくこんな生きづらい思いをしてきたので、自分としては生きづらい人に、こういう『半分降りる』という手も使ってほしいなとすごく思いますね」
--- 鶴見済(つるみ・わたる) 1964年生まれ、東京都出身。1993年に発表した初の著書『完全自殺マニュアル』がミリオンセラーを記録する。1994年の『無気力製造工場』、1996年の『人格改造マニュアル』をはじめ、「生きづらさ」をテーマに執筆活動を続ける。2018年からは、見知らぬ人々が集って話すイベント「不適応者の居場所」を主催。2022年、『人間関係を半分降りる』を上梓。 (取材・文:宗像明将)