コメ高騰は収まる気配なし…それでも生産者が訴える「値上がりへの理解」と抱えるジレンマ
“国民食”の値上がりは収まる気配がない。 総務省が20日発表した先月の全国消費者物価指数(2020年=100とし、生鮮食品を除く)は109.2となり、前年同月比で2.7%上昇した。物価高が庶民生活を苦しめる中、特に価格高騰が続くコメ類は、前年同月比で63.6%も上昇。比較可能な1971年以降、最大の伸び率となった。 【写真】令和の米騒動に便乗?「すき家」「天丼てんや」「ガスト」…外食チェーン次々値上げ これを受け、江藤拓農相は会見で「価格が高くてもいいという立場にはない。新米以降の集荷競争は過熱気味だ」と発言していたが、実際そうなのか。 今夏はコメが品薄となり、「令和の米騒動」と呼ばれる事態に発展した。新米が出回るようになってからも、卸売業者や集荷業者の買い付け競争が起きているとされる。 しかし、生産現場の認識は少し違うようだ。JAやまがた営農部の担当者は、現状をこう話す。 「確かに、流通業者間でのコメの取り合いが過熱し、高騰している感は否めません。ですが、やはり今までのコメの価格が安すぎたのではないか。物価高により、肥料は最大で1.5倍、農業機械は最大で2倍ほどにまで値上がりしましたが、これまでは価格転嫁できていませんでした。現在の価格でようやく、生産者が農業を続けるのに十分な利益を確保でき、『来年もまたコメ作りをしよう』という意欲が湧くようになったと思います」 ■“主食離れ”の懸念も ただ、ジレンマもある。 「実入りが増えるため、今よりさらに米価が上がることを望む生産者もいます。一方で、価格が上がりすぎるとコメ離れが進んでしまうという懸念もある。私たちの元にも『コメが高くなった』という声がよく届きます。安く食べられる国民食というイメージが強いのか、なかなか価格転嫁に理解が広がらないと感じています」(JAやまがた営農部の担当者) コメ生産者は高齢化が進む。今後もコメを安定して供給するには、新規就農者の呼び込みや、設備投資も必要になる。 JA全農にいがた米穀部の担当者はこう言った。 「私たちとしても、コメ作りのコストについて理解を広げてもらう活動の展開を考えています。それでも、結局はみなさんが『値段が高くなっても国産のコメを食べたい』と考えるかどうか。最後は消費者の判断に委ねられる部分があると思います」 「いつまでもあると思うな親とコメ」と、胸に刻むべきか。