なぜ長谷部誠は40歳まで第一線でプレーできたのか? 「1試合の総走行距離がすべてを物語るわけではない」
愛されるパーソナリティ「僕の両親はいつも、大事なのは…」
ピッチ上でも、ピッチ外でも長谷部のその落ち着きぶりは、常人離れしているものがある。 いや、落ち着いているというよりも情報処理能力が極めて高くて正確なのではないかと思うのだ。起こってしまった事象に対しても即座に次に何をすべきか、どのように整理して自分の中でつじつまを合わせるのかを瞬時にトレースしてしまう。 記者会見でも質問の意図を汲んで、それに応えるだけではなく、質問者がどんな答えを求めているのかをある程度詮索したうえで答えを形成してくれる。 「僕のパーソナリティによるものかなと思います。僕の両親はいつも、大事なのは冷静さを保つことって言っていました」 常に冷静で、誠実で、時に冗談を交えながらその場を沸かせる。長谷部の人柄はドイツ人記者たちにも愛されていた。コミュニケーション能力も特筆に値する。 成長するためにやるべきことを正しく整理し、取り組み方を精査し、時に寄り道をしながら、自分の中でバランスを取り、やると決めたことは徹底的にやり続ける。 誰でもその領域にたどり着けるわけではないかもしれないが、ぜひ我々も参考にして、自分たちなりの高みを目指したいものだ。 <了>
文=中野吉之伴