人気ラーメン店に「毎日5秒だけ営業電話」。ラーメン通販サイトが新規開拓で味わった“苦労と執念”
日本全国に数多く点在するラーメン店。有名店や人気店となれば、行列が絶えない。最近では、インバウンド客も増えており、より一層ラーメン人気に拍車がかかっている状況と言えるだろう。 だが、コロナ禍で多くのラーメン店が苦戦を強いられてきたのは周知のとおり。そんななか、大きく売り上げを伸ばした国内最大級のラーメン通販サイトが「宅麺.com」だ。店に足を運ばなくても、実際に店舗で出されているラーメンの味を自宅で堪能できることから、ラーメンフリークを中心に支持されている。宅麺.comはコロナ禍をきっかけに会員数が3倍に増えるなど、着実にラーメン通販の市場を切り拓いてきた。 ⇒【写真】宅麺.comで取り扱う「無鉄砲 つけ麺無心 濃厚豚骨つけ麺」 グルメエックス株式会社 共同創業者の野間口兼一さんに、宅麺.comが全国の人気ラーメン店から信頼され、競合サービスが撤退するなかでも生き残ってこられた理由について話を聞いた。
有名ラーメン店で売られていた「お土産ラーメン」が原体験に
2010年にサービスを開始した「宅麺.com」だが、その頃は今のようなフードデリバリーが主流ではなかった。 並んでまで食べたい“旨いラーメン”にありつくためには、店舗まで足を運ぶのが一般的だったわけだ。 このような状況下で、なぜラーメン通販ビジネスを始めたのか。野間口さんは「中高の同級生で共同創業者の井上 琢磨の原体験が由来になっている」と話す。 「その当時、有名なラーメンの行列店では『お土産ラーメン』という商品が販売されていました。それを井上が買って帰り、家族に食べさせたところ、妻や母がものすごく喜んでくれたみたいで。 それが、『メディアで取り上げられる人気店のラーメンを食べたいけど、食べれない人たちがいる』ことに気づくきっかけになりました。そうした方たちに向けて、美味しいラーメンを自宅でも食べられるようにしたいという思いから、サービスを立ち上げることになったんです」(野間口さん、以下同) 野間口さん自身も、カフェやそば屋、町中華といった飲食店を3店舗経営していた経験があり、事業の拡大を考える上では「ネットと掛け合わせたサービスを何かできないか」と模索していたという。 このような背景からお互いが意気投合し、「宅麺.com」を共同創業する流れにつながったのである。