なぜフェラーリはル・マンでトヨタに勝てた? 24時間走っても大接戦になる理由とは。
WEC世界耐久選手権第4戦「第92回ル・マン24時間レース」の決勝が、6月16日にフランスのサルト・サーキットで行われた。今年のル・マンはなぜ近年稀に見る大接戦に? モータージャーナリストの大谷達也が解説する。 【写真】フェラーリはなぜ速い? 秘密が詰まったマシンの詳細を見る!(全40枚)
フェラーリが2連覇!
今年のル・マン24時間が長く記憶されるレースとなることは間違いないだろう。 最高峰カテゴリーのハイパーカークラスにはフェラーリ、トヨタ、ポルシェ、キャデラック、ランボルギーニ、プジョー、BMW、アルピーヌなどの大メーカーがこぞって参戦。しかも、彼らは予選から激戦を繰り広げたうえに、24時間のレースを戦い終えてもなお実に9台が同一周回でチェッカードフラッグを受けたのである。私がル・マン24時間を取材し始めてから30年以上になるが、フィニッシュの瞬間までこれほど緊張感の強い戦いが繰り広げられたのは、初めてのことといっていいかもしれない。 結果的に優勝したのは、アントニオ・フオコ、ミゲル・モリーナ、ニクラス・ニールセンの3人が駆ったフェラーリ50号車。昨年、50年振りに最高峰カテゴリーに復帰したフェラーリは、並みいる強豪を下し、ル・マンで通算10回目となる栄冠を手に入れているので、今年は2連覇を果たしたことになる。 ただし、去年のウィナーは同じフェラーリでも51号車に搭乗するアレッサンドロ・ピエール・グイディ、ジェイムズ・カラド、アントニオ・ジョバナッツィの3人。実は、フェラーリでは50号車のほうがエース格なのだが、昨年は跳ね石でラジエターにダメージを受ける不運により勝利を逃していたので、ル・マン復帰2年目にして獲得した今回の勝利には格別の思いを抱いたはずだ。 その喜びを、リーダー役のフオコは次のように語った。「優勝できて、本当に最高の気分です。そしてフェラーリ・ファミリーの一員であることに強い誇りを感じています。チーム全体が、難しいウェットコンディションのなかでも素晴らしい仕事をしてくれました。今日は僕たちの1日だったといっていいでしょう。あとはチーム全員でお祝いをするだけです!」