「学校生活を共にした犯人…テレグラム性犯罪を確認して吐き気がした」=韓国
テレグラム性犯罪被害者の陳述
「私の顔が集団性暴力犯罪の被害現場と合成されているもの、顔や生殖器の部位に対して性的に蔑視する罵詈雑言が書かれているものなど、(違法合成画像の性犯罪の)数十枚の証拠を一つひとつ調べ、自分の写真で間違いないことを確認する過程では、何度も吐き気を我慢しなければなりませんでした。さらに、私の虚偽映像を捜査機関と裁判所、他の参考人、もしかしたら被疑者と被疑者の弁護人をはじめとする多くの人が見ることになるという実感がわいて、ひどい苦痛を感じました」 今年の春、それまで他人事だと思っていた違法合成性犯罪の被害を警察署で確認したあの日以降、チュ・ファンギョンさん(仮名)の日常は「怒りと悲しみ、悔しさがいきなりこみ上げて、正常な生活が営めない」ほど動揺した。別の被害者が2021年7月に最初に警察に通報してから約3年後の今年5月に捕まった犯人の一人は、チュさんと学校生活を共にした大学の同窓生だった。そのため「犯人が誰なのか分かった時、さらに大きな衝撃を受けた。人間関係そのものが根こそぎ揺さぶられる打撃」を受けた。この事件の加害者たちは性暴力処罰法違反容疑などで起訴され、現在ソウル中央地方裁判所で一審が進められている。 チュさんは今月14日、加害者の裁判が行われる法廷に出廷し、被害者として意見を陳述した。法廷にとうてい出られない被害者から、この事件を忘れて生きたいと望む被害者まで、多くの被害者に代わって犯罪被害による苦しみが具体的にどのようなものだったのか、直に判事の顔を見ながら話したかったからだ。それまで感じてきた苦しみと悲しみ、惨めな心境を200字の原稿用紙約40枚、8千字を超える文字に込めた。ハンギョレは28日、被害者との話し合いを経て、チュさんが法廷で陳述した内容の一部をまとめて報道することを決めた。自身の被害経験をメディアを通じて明らかにすることにした理由を、チュさんは次のように語っている。 「最近のテレグラムのディープフェイク性犯罪をめぐるインターネットの反応の中には『このような犯罪でなぜ大きく傷つくのか分からない』、『数人が自分たちだけで作って回していたのなら、被害は微々たるものではないか』といったものがあった。集団的に被害者を侮辱する違法合成画像の性犯罪は被害者の日常と人格を傷つけるが、その被害を人々はよく理解できていないようだった。しかも幼い生徒たちがこのような被害を受けたり、加害行為に加担したりするということに非常に胸が痛んだ。少しでも出て行ける立場にある私が被害経験を伝えるべきなのではないかと思った」 <被害者チュ・ファンギョンさんの意見陳述の主な内容> 本日、このように被害者陳述の機会を与えてくださり、深く感謝いたします。敏感な事案であり、社会的視線も集めているこの事件で、果たして法廷に出廷して陳述することが賢明な選択なのかについてはためらいがありました。この事件によってあまりにも大きな苦しみを経験し、現在も被害が続いているため、果たしてこの場にいらっしゃる方々の貴重な時間を浪費せずに、私の被害事実とこの事件に関する意見を簡潔にまとめて申し上げることができるかについても悩みました。しかし、本裁判の過程で示された被告人たちの態度に人間的に失望を禁じ得ず、さらにこの事件の数多くの被害者の中の誰かの声が裁判部に届くことを願う気持ちがあるため、本日、意見陳述の機会をいただきました。 私は、被告人とは学校で知り合った間柄です。講義はもちろん、学生食堂での食事、課題や勉強会など、学校生活のほとんどすべての局面で被告人を含む人々を中心に関係が形成されていました。そのため、私はこの事件の犯人が誰なのかを知った時、さらに大きな衝撃を受け、人間関係そのものが根こそぎ揺さぶられる打撃を受けました。 今年の春、警察庁からこの事件に関する連絡を受けました。被疑者が私の写真を利用して虚偽映像物を制作し頒布しただけでなく、別の犯人に私と近い間柄でなければ分からない詳細な情報を提供した状況がうかがわれるから、検挙に協力してほしいという内容でした。警察に出向くまで数日間まったく眠れなかったのですが、実際に捜査資料を確認してみると、誰かに頬をたたかれたようにはっと我に返りました。私の顔が裸の妊婦や集団性暴力犯罪の被害現場と合成されているもの、顔や生殖器の部位や尻に性的に蔑視する罵詈雑言が書かれているもの、目玉がひっくり返って白目をむいている奇怪な表情に加工されているものなどの数十枚の証拠を一つひとつ見て、自分の写真で間違いないことを確認する過程では、何度も吐き気を我慢しなければなりませんでした。さらには、私ではない別の被害者の写真が混ざっていたのですが、知り合いの写真だったためさらにつらく感じました。私の虚偽映像物を捜査機関と裁判所、他の参考人、もしかしたら被疑者と被疑者の弁護人をはじめとする多くの人が見ることになるという実感がわいて、ひどい苦痛を感じました。 テレグラムのチャットルームの参加者たちは、まるで古い友人のように私を名前で呼んでいましたが、この空間で私が嫌がらせの対象になったのは一日や二日のことではないと思いました。被告人たちは私の写真を共有して身体を評価したり、性犯罪をしたいと言ったり、個人情報を流布したり電話番号を共有したりして、いたずら電話をかけてその通話の音声記録を性的目的で使用しようと共謀したりもしていました。警察から見せていただいた資料には、私の写真を写し出した画面で誰かが自慰する映像もありました。調査を受けてから数日間、学生時代に撮ったすべての写真をいちいち確認し、誰が犯人なのか苦しみ、知人たちを疑って眠れない時間を過ごしました。この事件以降、私は努めて事件について考えないようにしていますが、怒りと悲しみ、悔しさがいきなりこみ上げて、正常な日常生活が営めずにいます。被告人は私について低俗な発言をしたり、そのような事実はないのに、まるで自分と私が何か関係を持っているかのように虚勢を張ったりしていました。このような会話内容を見て性的羞恥心も感じましたが、深刻な恐怖も感じました。 尊敬する裁判長、被告人たちは公訴事実をおおむね認めて反省していると認識しています。しかし、被害者の立場から見た被告人たちの態度には失望することこの上なく、公訴状に記載されている犯罪事実の行為者は自分だという客観的な事実を認めたこと以外に、果たして自分たちがどのようなことをしたのか、自分たちの行為の道徳的、社会的意味を理解しているのかさえ疑わしいと思います。被告人たちが作成した反省文と謝罪文を読んでみましたが、心からの反省は見出せませんでした。被告人たちは精神疾患のせいで、夢が挫折したせいで、吐き出す先のない絶望的な状況のせいで、衝動的に罪を犯したと弁解します。自分がなぜそのような行動を取ったのか分からないと言って、自分自身と自らの行為を努めて分離しています。 しかし私のみるところ、被告人たちは自分たちがなぜそのような罪を犯したのかを正確に知っており、単に逃げているだけです。被告人たちはチャットルームで私をはじめとする被害者たちを何度も女性性器の俗称で呼び、良い大学を卒業して良い職場に就職しても結局のところ私たちは女性器に過ぎないと嘲笑していました。このような被告人たちの発言こそ、この事件の犯罪事実の動機であり本質だと思います。このような彼らの考えが逆説的に被告人たちの生きていく社会について何を物語っているのか、そのような社会の構成員としてどのように堂々と生きていくつもりなのか、十分に理解し苦悩できていない被告人たちが、監獄に行く危機に直面した自分がどれほど大きな絶望と恐怖を感じているかに関してのみ数十枚の反省文を提出したところで、被害者たちにとってはちりほどの慰めにもなりません。 尊敬する裁判長、被告人たちは長い期間にわたり繰り返し数十人の被害者の私生活を侵害し、侮辱し、嘲笑してきました。他の被害者と活動家たちの長年の努力でこの事件が明るみに出ていなかったら、私をはじめとする多くの被害者は、犯罪行為の被害を受けたという事実を知らないまま、被告人と笑顔で交流していたかもしれないということが、とうてい言葉では言い表せないほど暗たんたる気持ちです。さらに、デジタル犯罪の特性上、完全な被害回復は不可能であり、被害者は、まだ明らかになっていない犯罪事実があるのではないか、被害事実が周囲に知られるのではないか、被害事実が報道され、自分が特定されるのではないか、被告人が作成して頒布した下劣な虚偽映像物が拡散し、さらなる被害が発生するのではないかという恐怖に震えています。 いつになれば被害が回復し、日常を取り戻すことができるか見当もつかない被害者たちの状況を、どうか推し量って下さい。数々の困難にもかかわらず被害を回復するために奮闘してきた数十人の被害者の努力が少しでも報われるよう、法の厳しさを示して下さることを切に願います。 パク・ヒョンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )