中国、異例の「年度途中での予算修正」を行うも不動産企業を巡る信用懸念などが株式市場の重石に【三井住友DSアセットマネジメントが解説】
※本稿は、チーフリサーチストラテジスト・石井康之氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。「アジアリサーチセンター」のレポートを基に、中国を中心に10月のアジア・マーケットを振り返ります。
アジア:マーケット動向
⇒【株式】概ね下落、【通貨】概ね下落、【債券】概ね金利上昇。 【株式市場】 ◆マレーシアは上昇も、その他は下落 米国株式市場が、長期金利上昇や中東情勢を巡る不透明感から軟調に推移したことを受け、アジア・オセアニア株式市場も総じて軟調だった。ベトナムは、ベトナム国家銀行が金融市場から流動性を吸収したことなどが嫌気され、韓国は米大手電気自動車(EV)企業の7-9月期決算が市場の事前予想を下回ったことなどからバッテリー関連銘柄が市場の下げを主導した。また、政府による景気支援策に対する不透明感が高まったタイや、緊急利上げを発表したフィリピンも下落。中国は不動産市場を巡る信用懸念が高まり、外国人投資家が売り越しとなったインドも軟調だった。一方、マレーシアは、消費者物価指数(CPI)が市場の事前予想を下回ったほか、政策対応による景気の先行き見通しや、金融業界における競争環境改善への期待から上昇。 【通貨(対米ドル)】 ◆概ね下落 米ドル堅調下で、主なアジア通貨の対米ドルレートは下落した。証券投資から資本流出が加速したインドネシアルピアが最も下落した。弱めの雇用統計であった豪ドルは次いで下落した。一方、9月の経常収支黒字が大幅に拡大したタイバーツは上昇した。 【債券(国債)市場】 ◆多くの国で金利上昇 アジア国債利回りは欧米金利とも連動し一部の国を除き上昇した。インドネシアでは自国通貨の安定性を高め輸入インフレの影響に対処するため9ヵ月ぶりに利上げが実施された。シンガポールでは金融政策の維持が発表されるなか、長期金利は小幅に低下した。 <※参照:各国の株価指数の名称> ●中国:上海/深圳CSI300指数、●香港:ハンセン指数、●韓国:韓国総合株価指数、●台湾:台湾加権指数、●インドネシア:ジャカルタ総合指数、●マレーシア:クアラルンプール総合指数、●タイ:SET指数、●ベトナム:ベトナムVN指数、●シンガポール:シンガポールST指数、●フィリピン:フィリピン総合指数、●インド:SENSEX指数、●オーストラリア:ASX200指数
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