子どもの可能性を潰す「無責任なほめ方」とは? 過信した“勘違いモンスター”を生む可能性も…
昔から子育てにおいて、「ほめること」と「理解すること」は非常に大切であると言われています。 「えらい!」は子どもの自己肯定感を下げる! 児童精神科の現役看護師が教える“褒めかた” 子どもを怒るのではなく、ほめて伸ばす。 子どもの気持ちを尊重し、ときには寄り添う教育や接し方が必要というわけですね。
ほとんどの人がほめてもらいたいし、理解してもらいたい
これは子育てに限った話ではなくて、恋愛の場面でもビジネスの場面でも、相手をほめることや理解することは非常に大切です。 なぜなら、ほとんどの人がほめられたら嬉しく思うし、気持ちを分かってもらえたら救われた気持ちになるからです。 むしろ「もっとほめられたい・認められたい」「もっと自分のことを分かってほしい」と渇望している人がここ日本では多いですから、ほとんどの日本人がほめられることや共感してもらうことを必要としているのかもしれません。 これは、それだけほめてくれる人や理解してくれる人が少ないという事実を物語っています。 ということは、親子関係においても、子どもをほめたり理解したりすることができる大人が少ないということになります。 なぜなら、人をほめるのが得意な人はいつも誰かのことをほめてるし、共感力の高さは元々その人に備わっている性質による部分が大きく、低い人は共感力を養うための訓練が必要になるからです。 つまり、誰かをほめたり理解したりする習慣や素養がない人が、子育ての場面でそれらを発揮することはできないということです。 では、ほめることや理解することが得意な人がもっと世の中に増えたら、子育ては上手くいくし、対人関係も良くなるのか? きっと、今よりも子育ては上手くいくだろうし、対人関係は良くなると思います。 しかし残念ながら、ほめて伸ばすことや、気持ちを理解し共感することで全てが解決するわけではありません。 場合によっては、それだけでは何の解決にもならないことも多々あるのです。
「ほめること」と「理解すること」では解決できないことがある
まずは、ほめることに関して。 たとえばここに、体育は得意だけど算数が苦手な子どもがいるとしましょう。 そこで親が、「でもあなたは走るのが速いからすごいよね」「算数は苦手でも運動できるから良いと思うよ」というようにほめたとしましょう。 しかし、この子が算数が苦手なことは何一つとして変わっていません。 むしろ「算数が苦手」という問題から目を背けさせているだけで、何の解決にもなっていないんですよね。 次に、気持ちを理解して共感することに関して。 算数が苦手なこの子どもは、勉強のたびにイライラしています。 そこで親が、「勉強ができなくてイライラしてるんだね」「私も算数苦手だったから分かるよ」と言ったとしましょう。 やはりこの場合も、子どもの算数に対する苦手意識は何も改善されていません。 これもまた、ほめたときと同じように、問題から目を背けさせているだけです。 場合によっては、「お母さんと一緒にするな」とか、「お母さんが算数苦手とかどうでもいい」と思うこともあるかもしれません。 ほめることや理解することで全て解決するわけじゃないのは、このようなケースがあるからなんですよね。