五輪で生理に悩んだ元競泳選手が語る いま男女で考えたい10代の月経教育
コンディション低下の原因として、月経中に腹痛、頭痛、腰痛、眠気などのさまざまな症状が起きる月経困難症があります。
また、月経の数日前から始まるさまざまな精神的・身体的な不調として、月経前症候群(Premenstrual Syndrome : PMS)や月経前不快気分障害(Premenstrual Dysphoric Disorder:PMDD)もあります。イライラする、頭がぼんやりしてしっかり考えられなくなる、気持ちが落ち込む、といった様々な症状があり、コンディションに影響することがあります。
月経の症状は十人十色ですから、まずは自分の調子がいつどうなるかを知ることが大事です。それによって、例えば、月経と重なってしまいそうな試合をどうするかといった対処法に繋がってきます。近年、トップアスリートにおいても低用量ピルを服用するなどして月経対策を行う選手が増えています。 ――伊藤選手は、08年北京オリンピックの試合において中用量ピルを服用し、コンディションに悪影響を及ぼしてしまったそうですね。 そうです。4月にオリンピック代表に決まり、試合のある7月が月経期間と重なることになりました。そこで中用量ピルを飲んで月経をずらしたのですが、副作用で 体重が4kg~5kgほど太り、ニキビが出たりもしました。私たちアスリートは、体重が300g~500g程度増減するだけでも水の感覚が変わってしまうので、急激な体重増加は大変なストレスでした。 このように、ピルには副作用もありますので、指導者や保護者、医師とよく相談して服用していただきたいです。当時と違ってピルの種類も増えてきていますしホルモンの量も低用量化が進んでいます。副作用も少なくなってきていますが、もし副作用が出ても薬を変更するなどして対応することが可能です。重要なことは、試合の直前に対策を取り始めるのではなく、日頃の練習にも影響がでないように早い段階から対策を取ること、また開始時期を慎重に選択することです。