歯周病予防になる食べ物とは 脚光浴びたブロッコリー納得の理由/歯学博士照山裕子
「100歳まで食べられる歯と口の話」<30> 感染症にかかった時の回復時間や、けがが治るまでの治癒期間には個人差があります。 年齢はもちろんですが、細菌に対する抵抗力の差や、組織に新鮮な血液が行き渡るだけの弾力が血管壁にあるかどうかといった要素も関係します。 生体の恒常性を保つための生理学的反応が、いわゆる「炎症」なのですが、歯周病も磨き残しによって繁殖した歯周病菌を排除しようとする体の防御機能が発動することにより起きています。感染源を止めない限りは延々と炎症が続くので、歯周病のコントロールは極力磨き残しをなくすこと、すなわちセルフケアで徹底的にきれいな状態を保つことが大切と考えられているゆえんです。 細菌をやっつけるために作られる活性酸素のコントロールや、炎症によって生じるサイトカインという物質の働きに、栄養素も鍵を握っていることが研究によってわかっています。 主要栄養素の摂り方はとにかく「バランスを良くする」ことです。歯周病進行患者さんの場合は特に、低栄養(タンパク質不足)の側面を疑います。白米や白砂糖の摂りすぎで、エネルギーは足りているのに栄養バランスが崩れているということはよくあります。肥満と歯周病の相関関係にはさまざまなデータが蓄積されていますから、食事の適正量を知り、体脂肪を増やさない心がけが歯周病の改善にも大切なのです。微量栄養素に関しては、抗酸化物質(ビタミンCやE、α-カロテンとβ-カロテン)が活性酸素の中和によいとされています。 52年ぶりに「指定野菜」に追加されたことで話題になったブロッコリーには、食物繊維やビタミン、ミネラルの他、野菜としては珍しくタンパク質が豊富に含まれています。近年の筋トレブームで脚光を浴びた野菜でもありますが、日本人の食生活に重要と国が認めた理由も納得だなと感じたニュースでした。