40歳ルーキー・元プロ野球選手、人生のどん底から競輪で再起 『ガチ星』が今なお心に響く理由
それでもペダルを回し続ける
逆境の時に支えてくれる存在こそが真の友と言えるでしょう。しかし、濱島はそのかけがえのない親友を裏切り、再び会うことができなくなってしまいます。感謝の言葉を伝える機会さえ失ってしまった喪失感は、観る者の心にも重くのしかかります。 多くの償いきれない過ちを抱えながら、濱島はただひたすらにペダルを漕ぎ続けます。レースでもがくなかで、心の傷と向き合い、40代でようやく大人へと成長していきました。敵は結局、自身の内にあったようです。戦いの後に周囲を見渡せば、かつて彼を見限ったように見えた多くの人たちは、遠くから温かく見守り続けていました。 濱島の競輪人生は、あと何年続くのでしょうか。もし60歳まで現役を続けたなら、残り20年。元気に駆け抜けてほしいものです。多くの新人が本デビューする7月のチャレンジ戦では、『ガチ星』のさまざまな競輪シーンを思い浮かべながら観戦してみてはいかがでしょうか。 (netkeirin編集部・木村邦彦) 【映画の情報】『ガチ星』、監督:江口カン、出演:安部賢一、福山翔大、モロ師岡、博多華丸、初公開:2017年8月25日