来店予約率が160%改善:アートネイチャーの成功事例に学ぶITサービス導入に必要な視点とは?
バナーをクリックしてから電話をかけさせるのではなく、電話ボタン表示と同時にバナーを見せるよう開発したことで集客動線を崩さない点や、広告流入~架電までの集客数データを返す点も魅力の一つです。
■ カスタマージャーニー上の障壁を徹底的に議論し、バナーに反映 アートネイチャーは、ただコールポップアップを導入するのではなく、「電話する直前に生活者は何を懸念するのか」というカスタマージャーニー上の障壁を関係者間で議論。それをバナー素材に反映させるところまでを、全員で検討しました。 自分の見た目を変える商材という特性上、ユーザーはそもそも電話問い合わせに一定の心理的ハードルがあります。そのようななかで、「無理な勧誘をされるのではないか」という不安もあると考え、それをバナー制作に活かしたそうです。その際、ユーザーの不安を払拭することは、アートネイチャーが長年培ってきた「信頼感」をさらに高めることにつながると考えたとのことです。 ■ 3社による密な連携で得た成果や、業務上の変化 導入後にどのような成果、業務上の変化があったかをまとめたものが以下です。 【成果】 架電率が170%改善。さらに、来店予約率が160%改善。 【業務上の変化】 出稿メディア、キャンペーン別の架電数・架電率をトラッキングし、メディアプランに活用できるようになった。 ニアメロが出稿メディア、キャンペーン別の架電数を集計し、架電率を算出したところ、リスティングの指名検索など、顕在層向けのキャンペーンは架電率が高かった。さらに、電話CTAタップ数が多いディスプレイ系のリーチキャンペーンについても、架電率が極端に悪いということはなく、架電CPA(顧客獲得単価)換算では安価ということが確認できた。 ・生活者のカスタマージャーニーを意識した体験設計 ・アートネイチャーの事業上、業務上の課題深掘り ・導入後の活用方法をクライアント、代理店、サービス提供社の3社で議論し、実行 そして、これらが先に説明した失敗を回避して良い成果を生み出すポイントでもあります。 取材の最後に私は、「クライアント企業におけるプロジェクト成功の秘訣」という質問をなげかけて議論しました。さまざまな意見がでるなかで、DX担当者にとって、私が特に重要だと感じたものは次のとおりです。 1. ツールをただ導入するのではなく、導入した先に何を達成したいかという目的意識とチャレンジ精神 2. 失敗しても次の仮説をたてて、失敗から成功に導く方法を、会社の垣根を超えて考えられるチームビルディング 3. 数字だけで判断せず、エンドユーザーのために数字以外の部分も考慮し、「数字はいいが、この方向に転んではだめ」と、あるべき方向を示す舵取り 4. プロジェクト有無に関わらず、普段から情報を収集し、事業に活かせるアイデアを考えて実行する姿勢