「ホンダ・シビックRS」はプアマンズ「タイプR」にあらず! 人気の秘密を探る
「タイプR」と「RS」のちがいはどこに?
2024年9月に発売されたマイナーチェンジ版「シビック」の国内受注状況が、先日、ホンダから発表された。それによると、発売から約1カ月となる10月20日時点での累計受注台数は、シビック全体で約3000台、そのうち、いわば“ホットハッチ”的な新グレードの「RS」が、全体の7割弱を占める約2000台という。 【写真】その違いはどこに? ホンダ・シビックのスポーツモデル、RSとタイプRの画像を詳しく見る(12枚) シビックベースのホットハッチといえば、おなじみの「タイプR」が最高峰であることは今も変わりない。タイプR専用の2リッター直4ターボエンジンは最高出力330PS、最大トルク420N・mを絞り出して、シャシーや空力も究極まで鍛え上げることで、“世界最速FF”の名をほしいままにするスピードを得ている。 いっぽう、今回のマイチェンで新登場したRSは、既存の1.5リッター直4ガソリンターボの6段MT車をベースにした、もうひとつのホットハッチ版シビックといえる。182PS、240N・mというエンジン性能やタイヤ、空力などはこれまでと変わらないが、エンジンレスポンスに直結する軽量シングルマスフライホイールを筆頭に、強化されたサスペンションにブレーキ、パワーステアリング、さらにドライブモードセレクトにレブマッチシステムなどが、RS独自の特徴となる。 つまり、シビックRSは絶対的な限界性能はほぼそのままに、“乗り味”にかかわる部分のスミズミにまで手が入れられているわけで、いかにも好事家好みのシブい内容のホットハッチともいえる。シングルマスフライホイールやレブマッチシステム、トーションバーの強化でよりダイレクトな手応えとなったパワステなどなど、RSにはタイプRの開発で得られた知見が少なからず生かされているとか。 もっとも、シビック最高峰のタイプRは、国内発売から4カ月後の2023年1月に「すでにご注文されたお客さまに、確実にお届けするため」という理由で、受注停止となったまま……。となると、こうしてシビックRSが人気なのも「タイプRを注文できないファンが、タイプRのかわりとして買っているのでは?」と考えられなくもない。タイプRの受注停止期間がすでに1年10カ月という長期にわたっていることを考えると、なるほど、「本当はタイプRがほしいんだけど……」というRS注文者もゼロではないだろう。