がん発症リスク、2年間で10%痩せると2倍に増加「意図せぬ体重減少に注意して」
アメリカのダナ・ファーバー癌研究所らの研究グループは、「体重減少とがん発症との関連を調べた結果、2年間で10%以上体重が減少した人は体重減少がなかった人と比べて、その後1年間の新規がん発症率が有意に高くなった。意図せぬ体重減少は、意図的な減量と比べて約2倍の新規がん発症率だった」と発表しました。この内容について明星医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
ダナ・ファーバー癌研究所が発表した研究内容とは?
編集部: アメリカのダナ・ファーバー癌研究所らによる研究グループが発表した研究内容について教えてください。 明星先生: 今回紹介する研究は、アメリカのダナ・ファーバー癌研究所らの研究グループによるもので、成果は学術雑誌「JAMA」に掲載されています。 研究グループは、体重減少とがん発症の関連に注目しました。解析対象は、ベースラインでがん既往歴があった者などを除外した15万7474例で、対象者の2年間の体重減少率を算出しました。解析の結果、報告された体重変化後の12カ月間に、体重が10.0%以上減少したグループの10万人・年あたりのがん発症率は1362例でしたが、体重が減少しなかったグループの10万人・年あたりの発症率が869例でした。さらに、意図的な減少が低いグループの10万人・年あたりの発症率は2687例だったのに対し、意図的な減量の可能性が高いグループは10万人・年あたりのがん発症率は1220例となり、意図的な減少の可能性が低いグループの方が、リスクが約2倍という結果が出ました。 がんの種類別で見ると、体重減少がないグループと比べて体重減少があるグループは、上部消化管がんのリスクが特に高くなりました。そのほか、血液がんや大腸がんの発症率も体重減少があるグループで有意に高くなった一方、乳がん、生殖器がん、泌尿器がん、悪性脳腫瘍、黒色腫では有意な差が見られませんでした。 研究グループは、「過去2年以内に体重減少がみられた医療従事者は、最近、体重減少がみられなかった医療従事者と比較して、その後12カ月間にがんに罹患するリスクが有意に高かった。上部消化管のがんは、最近減量した参加者では減量していない参加者と比べて特に多かった」と結論づけています。