「完熟梅での仕入れ」「柔軟な出荷時間」…では、あと1つは? 梅酒の「チョーヤ」、あまりに常識外れだった「3つの変革」
チョーヤの企業理念は、「古来健康のために食されてきた梅の文化を継承し、世界へ発信すること」だ。そのため味の基本はあくまで、「焼酎35度1.8Lに対し、梅1kg、砂糖1kg」の家庭のレシピをベースにしている。それをもう少し淡白にしたり濃厚にしたりと、上下にずらしているだけなのだそうだ。 もちろん、時代と共に甘みを抑えてドライにしたりという微調整はあるが、基本は「代々日本で受け継がれてきた梅酒の味」にある。だから、科学的な添加で無理やり100点を目指すことに意味はないのだ。変えてきたものと、その土台にある変わらないもの。このコントラストがチョーヤのロングセラーを支えているのかもしれない。
「今年は前代未聞の梅不作だそうです。ということは、梅酒のチョーヤは甚大な被害を受けてるはず。笹間さん、ちょっと取材しませんか?」 担当編集の思いつきで始まった本取材だったが、右肩下がりの業界の中で成長を続ける、中小企業の強さ、堅実さを感じさせられた。だが、「関西のおっちゃん」感満載な、饒舌な金銅氏の話はまだまだ続いて……。 ということで、後編では、創業から見据えていた海外展開への挑戦や、技術の核とも言えるブレンドへのこだわり、展望について解説する。
笹間 聖子 :フリーライター・編集者