増える「和僑」 なぜアフリカを目指すのか?
政策的な後押し
昨年6月に横浜で開かれたアフリカ開発会議(TICAD5)では、日本政府からさまざまなアフリカ成長支援策が打ち出されました。インフラ開発など、今後5年間で最大3.2兆円のODAによる官民連携の支援を発表。また「安倍イニシアチブ」として、2021年までに約900人の留学生をケニア、タンザニア、南アフリカなどから受け入れるなど産業人材の育成も目指します。「起業家の自発的意思が大前提だが、日本政府としても政策で後押しするような方向にある」と小柴さんは語ります。
少ない「ライバル」
アフリカはアジアなどの国に比べて強力なライバルが少ないケースも挙げられます。小柴さんはこう解説します。「競合他社がどういう状況かも重要です。アジア各国に行く場合は、欧米企業も進出しているので、そういうところと戦わなければならない。特に消費者向けのビジネスだと、競合他社は現地製造を前提に展開していることが多い。しかし、アフリカの場合は、特に消費材は輸入に頼るスタイルが多い。そういう意味では、現地に根を張ってビジネスをやっていくことができるなら、かなり競争力を持って勝負することができる」。
アフリカのリスク
ただ当然、アフリカでの事業はリスクもあります。インフラの整備状況は良いとは言えず、政治的な安定性や治安リスクもあります。国によるものの、イスラム系のテロも起きていて、潜在的な事業リスクにつながるものはたくさんあるのもまた事実です。
「やりがい」を求めて起業
アフリカで起業した日本人といえば、古くは、現地で高い評判のヤマトシャツなど衣料品を販売してきたフェニックス・ロジスティクスの柏田雄一社長や、ケニア最大の食品会社「ケニア・ナッツ・カンパニー」を創業した佐藤芳之社長が有名です。彼らはともに半世紀ほど前にアフリカに渡り、事業を成功させました。 小柴さんは、最近アフリカで企業している日本人は、30代から40代前半の若い世代が夢を持って企業しているケースが増えているといいます。「自分のビジネスを通して社会が良くなって行くことに携わっていきたい、という思いを持ってビジネスをしている日本人が増えているようです。モティベーションを持って働きやすいのでしょう」。