公立小中学校の教育課程調査、授業時数が減少傾向
文部科学省は2024年12月25日、「令和6年度公立小・中学校等における教育課程の編成・実施状況調査」の結果を発表した。調査は全国の公立小・中学校を対象に実施され、標準授業時数を大幅に上回る教育課程を編成している学校の割合が減少していることが明らかになった。文部科学省はこの結果をWebサイトに掲載し、各教育委員会に対して教育施策の立案や学校への指導に活用するよう求めている。 【画像全4枚】
同調査は、各学校における教育課程の編成・実施状況を把握し、今後の教育課程に関する政策の改善・充実に生かすことを目的としている。特に、標準授業時数を大幅に上回る教育課程を編成している学校の状況を把握し、必要な点検・改善を促す観点から、悉皆調査によって実施された。調査期間は2024年7月22日から8月30日までで、全国の公立小学校18,532校、中学校9,199校が回答した。
調査結果によると、2024年度の年間授業時数が1,086単位時間以上の学校は、小学校5年で17.7%、中学校2年で15.2%であり、前年度と比べてそれぞれ19.4ポイント、20.9ポイント減少した。文部科学省は、標準授業時数を大幅に上回る教育課程を編成している学校に対し、見直しを前提とした点検の実施を促してきたことが、これらの学校の減少につながったと分析している。
また、標準授業時数を上回る時数の具体的な使い方を想定していない学校が約25%存在することがわかった。文部科学省は、真に必要な時間かどうかを検討し、改善を図る必要があると指摘している。さらに、学級閉鎖などの不測の事態に備えて授業時数を確保するために時数を充てている学校が約35%あるが、こうした事態においては標準授業時数を下回ったことのみをもって法令に反するものではないことに留意する必要があるとした。
調査では、教育課程の点検を行っていない学校が小学校で34校、中学校で49校存在することも明らかになった。文部科学省は、早急な点検の実施を求めるとともに、指導体制に見合った計画となっていないにもかかわらず、必要な見直しを行う予定のない学校に対して、対応の検討を促している。