政党交付金は議員に直接支払う方がいい ワタミ忘年会好調の理由は「店長」
【経営者目線】 政府は先月の持ち回り閣議で、約14兆の補正予算を決定した。物価高への対応が合計で3兆3897億円、うち電気・ガス料金の負担軽減3194億円、燃料油価格の激変緩和措置に1兆324億円を使うという。 【イラストでみる】家庭でできる主な節電・節ガス 脱デフレといってインフレ政策をとっておきながら、赤字国債を出してまで物価高対策を行う。客観的に何をしているのか分からない。石破茂首相が選挙期間中に「補正は13兆円を上回る規模」と発言し、各省庁が取れるだけ取ろうとした予算だろう。補正予算は、ほとんど審議されない。コロナ以降、大型補正があたり前になってきた。補正であっても、慎重に議論し、効果検証もしっかりして欲しい。 政治資金規正法の再改正に向けての議論もはじまったが、自民党は企業・団体献金を廃止しない意向を貫いている。世論がもっと自民党に怒れば、廃止に傾くかもしれないが、風を読み、今のままでは押し切れると見ているのが本音だろう。 結局、政党交付金を導入しても、企業・団体献金は存在し続けている。政党交付金をもっと有効に使うべきだ。 私は議員時代に政党交付金をひとり頭の金額で、議員個人に直接支払うよう提言した。使い切らなかったら国庫に戻せばいい。党を介して受け取れば、党や執行部に頭が上がらなくなる。政党の必要経費は議員が出し合う形にすればいい。そうすれば、政党本部の規模も機能も必要最小限になるし、有効的でクリーンなお金の使い方になる。 議員には、破格の議員宿舎や、グリーン車を含めたJR乗り放題や、東京と選挙区を月4回往復できる航空券などの特権もある。野党ですらこの特権を手放そうとしない。結局は国民が怒るしかない。 さて、年の瀬が近づいているが、ワタミが先月集計した今年の忘年会のトレンド速報では予約件数前年113%と好調だ。想定より大型宴会も多い。 居酒屋業界全体は、いまだコロナ前の売り上げから7~8割だ。ワタミは、普段は飲みに行かないが、忘年会ぐらいはやろうという風潮をしっかり取り込み、大型宴会ができる店を残した残存者利益も効いている。人手不足倒産も言われるが、ワタミはコロナ禍でも店長を1人も手放さなかった、実はこれがいちばん大きい。 もちろん忘年会コースのメニューにもこだわっている、主力居酒屋の「三代目鳥メロ」では早期予約で近江牛を用意した。通常予約でも肉を2倍盛りとバリューを出した。
忘年会と言えば、参議院議員時代の同期と先日同窓会をおこなった。皆に「経営者に戻っていきいきしている」といわれたが、同期もそれぞれ志が高い政治家だ。しかし、日本の国会議員は、次の選挙を意識し、どうしても大衆迎合化してしまう。この構図を変えることこそが、本当の政治改革だ。大衆迎合の果てには、財政破綻しかない。 (ワタミ代表取締役会長兼社長CEO・渡邉美樹)