「難解な本はとにかくページをめくる」…「勉強できる人」と「勉強が苦手な人」の大きな違い
知識の「つながり」と「ばらつき」
『世界は経営でできている』では、「勉強においてこうした徒労が起こる理由は、知識の「つながり」と「ばらつき」から説明できる」という。 〈英語にかぎらずすべての知識は全体を部分に分けることができる。英語力の場合には単語力と文法力と長文読解力と……という具合である。しかし、部分的な能力の総和がそのまま全体的な能力になるわけではない。複数の部分がつながったときにはじめて全体になるためだ。 しかも、部分的な知識の理解度には、ばらつきが生じる。 そのため、部分的な知識のうち理解度が最も低いところが、確率論的に必ず一ヵ所(ごくまれに二ヵ所)存在する。そして、部分は別の部分とのつながりを持つため、上記の「最も低い所」が制約(ボトルネック)となって全体の理解度を決定するのである。 たとえば、単語力がどんなに突出していても文法力が皆無ならば英語は読めるようにならない。あるいは、確率の概念を理解していないと統計学の結果を誤読してしまう。語彙力が乏しければ、鋭い感性があっても長文を書くことはできない。歴史の大きな流れが分かっていなければ史実の背景事情を説明できない。学問分野での議論の展開(学説史)が分かっていなければ理論の面白さは十分には理解できない。 このように、勉強においては「はじめに全体観を把握してから最も弱い部分を補強していく」必要がある。さらに、最も弱い部分を補強した後には別の部分が最も弱い部分となる。こうして次々に補強する部分を変化させることで全体の理解が進む。〉(『世界は経営でできている』より) 教科書や参考書を蛍光ペンでカラフルに塗りたくっている人、勉強の計画を一日中立てている人……そうならないように、勉強にもぜひ「経営の視点」を取り入れたい。 つづく「老後の人生を「成功する人」と「失敗する人」の意外な違い」では、なぜ定年後の人生で「大きな差」が出てしまうのか、なぜ老後の人生を幸せに過ごすには「経営思考」が必要なのか、深く掘り下げる。
現代新書編集部