【日本市況】債券が下落、米経済指標強く利下げ観測後退-株式は反落
(ブルームバーグ): 8日の日本市場では債券が下落。長期金利の指標となる新発10年国債利回りは約13年半ぶりの高水準を更新した。米国で発表された経済指標が予想を上回り、利下げ期待の後退で金利上昇が進んでいることなどを受けて売られた。株式は反落し、円は横ばい。
米供給管理協会(ISM)が7日に発表した昨年12月の非製造業総合景況指数は54.1に上昇し、事業活動の拡大ペースが加速。仕入れ価格指数は2023年初頭以来の高水準となった。堅調な経済を背景にインフレへの警戒感が強まり、利下げの後ずれ観測が高まった。米10年国債利回りは一時4.7%程度と、24年4月以来の高水準を付けた。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは、債券は米金利が上昇した影響以上に売られ「地合いが悪い」と指摘。「米長期金利がどこまで上昇するか分からない状況では買い戻していく雰囲気にもならず、弱い地合いが続きそうだ」と述べた。
債券
債券相場は下落。米国で経済指標の発表を受けて金利上昇圧力が高まる中、日本銀行が実施した国債買い入れオペの結果が弱めだったことも売り圧力になった。
大和証券の小野木啓子シニアJGBストラテジストは、きょうの日銀オペ結果は全体的に弱めで、午後の先物や10年債の売りにつながったと指摘。米長期金利が上昇する中、「きのうの10年債入札で必要額を買った投資家は追いかけて買うこともなく、1.2%を待つ感じもある」と話していた。
日銀は定例の国債買い入れオペを実施。対象は残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下、10年超25年以下。小野木氏は「3-5年を除き、いずれも落札利回りが想定より弱かった」と指摘した。
新発国債利回り(午後3時時点)
株式
東京株式相場は反落。堅調な経済指標を背景に米国の利下げ観測が後退し、米国株が下げた流れを引き継いだ。
SMBC日興証券投資情報部の太田千尋部長は、米景気が良いことは日本株にとってポジティブと指摘した上で、「トランプ氏の大統領就任式を控えて様子見ムードが戻りつつある」と述べた。