バイデン氏、アサド政権崩壊は「歴史的好機」 過激派実権を警戒、75超のIS拠点空爆
【ワシントン=塩原永久】シリアのアサド政権崩壊についてバイデン米大統領は8日、「長期に渡り苦難を味わってきた人々にとり、より良い未来を築くための歴史的な好機だ」と述べた。一方、シリアの将来に「リスクと不確実性」があると指摘し、過激派が実権を握ることに懸念を示した。 【写真】首脳会議の集合写真で後列のバイデン氏に米紙「超死に体」 米軍は8日、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の75以上の拠点に空爆を実施したと明らかにした。アサド政権崩壊に乗じ、活動を活発化させる兆候があったとしている。 バイデン氏はホワイトハウスで声明を発表し、アサド政権を崩壊に導いた反体制派に「残忍なテロと人権侵害の記録」があるとし、今後の動向を注視していると話した。 またバイデン氏は、地域の不安定化を防ぐため周辺国と連携して対処する姿勢を強調。数日内に中東地域の首脳らと協議するほか、政府高官を派遣すると説明した。 アサド政権を支えてきたロシアやイラン、親イラン民兵組織ヒズボラが弱体化し、「支援が崩壊した」と指摘。一方で、ISが支配地域拡大などのために「力の真空に乗じようとしている事実をよく認識している」とも話し、過激派の勢力伸長に警戒感を示した。 米中央軍によると、シリア国内で、ISの戦闘員が多数いる拠点などに標的を絞った攻撃を8日に実施し、約140人の戦闘員が死亡した。中央軍は攻撃の目的について「ISが対外活動を展開するのを阻止するため」などと説明した。