サンフレッチェ広島の最強助っ人 アルスランとパシエンシアが優勝のカギを握る
【ゴールを取れなくても優勝することが重要】 もっとも、アルスランはストライカーではなく、トップ下やボランチを主戦とするMFだ。「点を取ることが一番好き」と話すものの、味方を助ける利他的なプレーを持ち味としている。 厳しくマークされた湘南戦ではなかなかエリア内に入り込めなかったものの、サイドに流れてボールを引き出し、中央のスペースにボランチの川辺駿を引き込むなど、クレバーなプレーで攻撃を活性化していた。 「今日はマークがけっこう厳しかったので、たくさん動きました。たくさん動くことで味方がフリーになればいいと思っていましたし、空いたスペースをうまく利用しようと考えていました」 ゴールを量産し、相手の警戒が強まっていることも、アルスランはどこ吹く風だ。 「オーストラリアでは、日本のディフェンダーより2倍くらい大きくて、強くて、速い選手を相手にしていたので、(警戒されていることは)そこまでは意識していません。自分が点を取っても、取れなくても、優勝することが一番重要です」 軽いジョークを交えながら飄々(ひょうひょう)と答えるアルスランからは、確かな経験値を備えた実力者の余裕が漂った。 「Jリーグはすばらしいリーグだし、優れた選手もたくさんいると思います。でも僕は、毎試合を楽しんでプレーしているだけ。そしてとにかく優勝したいので、そこに集中してやっていくだけです」 ドイツから加わったアタッカーと、ポルトガルからやってきたストライカー。広島の9年ぶりの優勝は、想像の域を超えてくるこの「ふたりの助っ人」にかかっている。
原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei