危なかった…賃貸マンションを経営する70代母が「3億円」騙し取られかけたワケ。「相続対策」で待ち構える、悪徳不動産会社の功名なワナ【元メガ・大手地銀の銀行員が解説】
悪徳不動産会社へ「お断り」連絡
不動産会社に対しては不動産を売却しないことに決めたと伝えた。 担当からは、しつこく売却しない理由を聞かれたため、真田にも同席をしてもらい、そもそも売却するなど一言も発言していない、勝手に買付を取得してきたのはそちらであり、こちらはなんらの拘束も負っていないことを淡々と説明した。 担当からは、せっかく買付を取得してきたのに後悔してもしらないからな、などの捨て台詞をいくつか吐かれたが、そもそもグループ会社の買付証明書であることを知っていることは隠しながら適当に流しておいた。 しかし、今後しつこい営業をしてきたときの対抗手段として念のため会議の内容は録音しておいた。
長女の真意
いよいよ法人の設立に入り、家族で話し合い社名を定め建物の所有を移した。法人化にともない、金融機関からの資金調達や法人口座の開設、賃借人や管理会社への通知、火災保険などの名義変更など諸々対応に時間を要したが無事にすべてを完了させた。 ここまでの過程においては長女にも多くのところで協力してもらった。先日の会議のとおり香織は長女が承継する資産が少なくなることに内心申し訳ない気持ちを感じていた。思い切って先日長女が株の承継について確認をした真意を聞いてみた。 長女としては、本来第一子として承継の中心として取り組まなければいけないが、子供を作らなかったことに負い目を感じていたため、せめてサポートする立場になろうと考えていたとのことであった。質問をしたのは自分の考えと承継方針に相違がないか確認をするためとのことであった。
まとめ:70代の相続対策は、家族・専門家に「必ず」相談する
・70代の承継においては1人で抱え込まず家族の協力を仰ぐこと ・相続の不安を仰ぐような営業もあり、信頼できる人物のサポートを得ること ・判断や意思能力に低下がみられるケースもあり即断即決せず、ほかの意見を聞いて焦らず冷静に判断すること ・相続に向けては家族への共有を行い方向性については家族内で協議をしていくこと ・特に不動産の売買などにおいては業者との知識差が大きく、だまされるリスクが大きいことをあらかじめ念頭にいれておくこと ・後々の「言ったor言ってない」にも備えるため、大事な面談などはきちんと記録を残しておくこと ・あるいは大事な面談の際には必ず家族も同席するように事前に取り決めをしておくこと 以上のポイントを押さえることが重要である。 小俣 年穂 ティー・コンサル株式会社 代表取締役 <保有資格> 不動産鑑定士 一級ファイナンシャル・プランニング技能士 宅地建物取引士
小俣 年穂
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