危なかった…賃貸マンションを経営する70代母が「3億円」騙し取られかけたワケ。「相続対策」で待ち構える、悪徳不動産会社の功名なワナ【元メガ・大手地銀の銀行員が解説】
長女が「買付証明書」を見つけ…
結論が出ないまま1週間ほど経過したとある日、長女から「お母さん、この不動産を売却しようとしているの!?」と突然聞かれた。長女が昨夜書類の整理をしていた際に買付証明書をたまたま目撃したようであり、非常に驚いて質問をしたとのことであった。 長女からは、夫が生前不動産を将来的に残したい意向を示していたこと、規模や立地の点で価値の高い土地であることから簡単には手放してはいけない、と話していたことを伝えられた。 確かに夫はそのように言葉を残しており、自分としても極力そのようにするつもりであったが、娘2人に平等にわける手段として売却も選択肢として考えたことなどを話した。 その後、長女と1時間ほど話し合いを行い、頭を整理したが、そのなかで長女が話していた不動産業者が強引に進めている気がする、という点は確かにそのとおりであり冷静さを欠いていたと反省した。 そこで、次女および次女の夫に包み隠さず相談することにした。次女の夫は金融機関で勤務しており、人脈も広いことから取引のある不動産コンサルタントを紹介してもらうことになった。
不動産コンサルタントへ相談
不動産コンサルタントの真田は相談者である松田香織と面談を行った。相談者の松田氏から今までの経緯について説明を受けた。また、松田氏の承継に対する思いや悩み、故人であるご主人の思いについても聴取することとした。整理すると以下のとおりである。 ・相続に対して漠然とした大きな不安を持っている ・不動産については亡き夫の遺志もあり可能であれば残したいと思う ・一方で、娘2人に対しては平等に配分をしてあげたいとも思う ・長女はおそらく今後も独身であり将来の生活のサポートをしたい ・不動産については老朽化が進んできており、将来的な不安を感じている ・いまの建物は夫主導で建築したものであり、建築にあたっては関係者の調整など苦労をしていたのを近くで見ていた ・亡き夫は極力「松田」姓を残していきたいと望んでいた 真田は相談者の夫の思いには配慮したいものの、対策に大きな労力をかけることに不安を感じており、最も簡便な不動産売却という手段に傾いていることが悩みを大きくしている原因であると認識した。 最後に、買付証明書の写しを受領して打合せを終え、近日中に対策を整理のうえ説明に伺うことを約束した。
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