美術館や博物館のミュージアムグッズが面白い!
実用性だけではなく、持っていて幸せになれるもの。
大澤 どのアイテムもクオリティが高いですが、開発にあたって大切にしていることは何ですか? 舩山 どんなに時間がかかっても、建築の素材感やロゴカラーは忠実に再現するようにしています。たとえばバッグもコンクリートの壁の色を出そうとしたものの、最初は全く色が合わず、担当者が制作現場と何度もやり取りして調整を重ねました。ロゴカラーのブルーの色も、再現性にはこだわっています。〈21_21グラフィックプレート〉もそのひとつ。 ●21_21グラフィックプレート
大澤 これも好きです。館内のトイレなどの案内サインまでもがグッズになるなんて! 舩山 当たり前に身の回りにあるデザインというものについて、こうしたグッズを通してあらためて考えるきっかけになってくれたらいいなと。 大澤 確かに、デザインと日常をつなげてくれるフックの一つになりますね。しかも細かくて繊細な作り。 舩山 ロゴやサインの大きさ、厚みなど、ミリ単位でこだわってこの形に辿り着いたんですよ。ほかのミュージアムにはない、けっこうマニアックなグッズ。実用性に疑問を感じる人もいるかもしれませんが(笑)、僕はブックマークとして使ってます。 大澤 実用性だけではなく、マニアックな気持ちも受け止めてくれるところもミュージアムグッズの魅力。「持っていて何だか幸せ」っていう気持ちにさせてくれるんですよね。
舩山 大澤さんは、いつ頃からミュージアムグッズの研究をしているんですか? 大澤 2011年からです。資料として保管しているグッズは2000点以上ありますね。 舩山 それはすごい! 大澤 ミュージアムショップって、十数年前まではあくまで美術館の付帯施設という位置付けだったと思うんです。ところが社会状況が変わり、近年は美術館にとって収益の面からも広報の面からも重要な役割を担うようになってきた。そこからグッズも一気に多様化してきました。 舩山 僕もほかの美術館のグッズはすごく気になって、よく買っています。この前も展覧会でハンカチを買いました。アイデアや価格、使い心地なんかをチェックしちゃいますね。 大澤 私は全国のミュージアムのグッズを集めているんですが、所蔵品などの実物を、ここまでやるかっていうほど忠実に再現しているものもあります。「古代オリエント博物館」の一筆箋(1)は、所蔵品の粘土板文書がモチーフ。粘土板文書というのは古代の書類や手紙に当たるもので、当時の人はそこに楔形(くさびがた)文字を刻んでいたらしいんですが、この一筆箋の表紙には、粘土板の表面がものすごくリアルに再現されているんです。 (1)古代オリエント博物館(東京都)粘土板文書一筆箋