「本当に賢い子」ってどんな子? 元教員が出会ってきた「賢い子」に共通する“ある特徴”とは
教員時代に出会った賢い子たち
私は、帰りの会で必ず「みんなのための1分間」という時間を設けていました。 1分間で「自分はクラスのみんなのために何ができるか」を考えて行動するという時間です。机を整頓する子、黒板を消す子、窓を閉める子……さまざまです。 そこに正解はありません。最初は何をすればいいか分からない子ももちろんいますが、私はあえて見て見ぬふりをしています。 ですが、数週間もすると、どの子も周りを見て「こんなことをすればいいんだ」と気付いて、いきいきと自ら行動するようになるのです。 ある日の放課後。さようならをした後、ふと廊下を見るとクラスの大人しい女の子(Cさん)が、乱れた鍵盤ハーモニカに気付いて、きれいに並べ直しているのです。並べ終えると、何事もなかったかのように帰っていきました。 翌朝、子どもたちに紹介しました。「Cさんは誰にも言われていないけれど、自分で気付いて必要だと思って直したんだよね。一人で考えて行動できるってとても素敵だと思ったよ」と。 この日から、子どもたちの行動が少しずつ変わっていきました。 毎日一緒に生活をしていると、子どものマイナス面に目を向けがちです。しかし、プラス面を見つけ、理由を添えて伝える姿勢は、何歳になっても大切にしたいと改めて思いました。 先ほどお話したCさんは、5・6年生の2年間担任しました。大人しかったCさんはみるみる力を発揮し始め、6年生では児童会に入り学校全体を引っ張っていく立場になりました。 Cさんは卒業時に「あの時、先生が褒めてくれたから変わることができた」と話してくれました。 周りの大人は、どのような価値観を持ち、またそれを子どもにどう伝えていくかよく考える責任があると実感した出来事です。
テストの点数は大切か
このように書くと「クラスで活躍する子って、結局テストの成績も良い子なんでしょ?」という声が聞こえてきそうです。 クラスで活躍する子は、頭の良い子が多いイメージですよね。次に紹介するのは、勉強が苦手なDさんの話です。 Dさんはテストが返されるたびに「ほんと、私ってばか!」と言うのが口癖の子でしたが、底抜けに明るい子でした。朝は、誰よりも気持ちの良い挨拶をしたり、運動会や修学旅行などの行事の時は、クラスの中心に立ってみんなをまとめる頼もしさがありました。何よりとても素直な子だったので、私が伝えることをどんどん吸収して成長する姿が印象的でした。 まさに「心の賢さ」に秀でていて、卒業後も中学校の生徒会で活躍する様子を耳にしたほどです。 きっと彼女は、大人になっても逞しく生きていくのだろうなと思っています。 様々な研究で、頭の賢さと心の賢さには深い関係があると言われています。 私自身、どちらもバランスよく育てることが大切だと考えていますが、教員時代に強く感じたことは「賢さの土台」がつくられている子は、学力面にしても精神面にしても伸び代が大きいということでした。 そして、何百人という生徒を見てきた中で、特に「心の賢さ」が育っている子は、どんな困難に直面しても、乗り越えながら生きていく強さが見られました。 次回は、【今からでも遅くない!家庭でできる「賢さの土台づくり」について】です。CさんやDさんのように、自分で考えて行動できる子の共通点とは…?
【Profile】まーや(@ma_ya.chiiku)
教員時代の習性と研究気質から、妊娠中に育児書を1000冊以上読破。14年間の教員経験の中で、生きる上では学力だけではなく、人間性も重要だと感じ、特に幼児教育の重要性について考えるように。乳幼児期の脳の発達やIQおよびEQに着目し、2年間の育休中に自宅保育と知育を行い、3歳の娘のIQを130までに伸ばした。北海道の一軒家で夫、3歳の保育園児(娘)との3人暮らし。
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