「もう一度あのペットを抱きしめたい」かなえます 羊毛フェルト教室講師・島史彦さん TOKYOまち・ひと物語
■手法を標準化を大切に
店名にある「アルチザン」は、フランス語で職人の意。アーティスト(芸術家)ではなく、技を伝え続ける者として、教室を訪れるお客さんの思いに応えたいという信念から名付けた。
「自分の手で作りたい」という人がみんな、絵心があったり、器用だったりするわけではない。誰でも思い描いた通りの人形を完成させられることを最優先に、手法の標準化を大切にしている。
人形を作り始めて10年がたったが新たな問題が出てきた。どれだけ丁寧に作ったとしても、羊毛フェルトでできた人形はあくまで鑑賞用。触りすぎると毛がへたったり、絡まったりして傷んでくる。
「触っても大丈夫な素材を研究したい。少しでも長く、人形が癒やしを求める方々の助けになれば」。ペットロスに苦しむ人々にもっと寄り添うにはどうしたらいいか、「職人」の追究は止まらない。(堀川玲)