【次世代『e:HEV』はどう凄いのか】ホンダの次世代技術公開 ヴェゼル・プロトタイプ試乗でその片鱗を確認
エンジンやフロントドライブユニットなどを新開発
2050年のカーボンニュートラル達成を目指すホンダ。まず2040年にEVとFCEV(燃料電池車)販売比率100%を目標に掲げ、2020年代後半以降のEV普及期を見据えて事業基盤の構築に取り組んでいる。 【写真】試乗の様子をみる (154枚) だが、2020年代中盤までのEV移行期はHV(ハイブリッド車)の需要が高く、これに対応する新たなHVの開発を進めている。その第一弾が、今回の次世代『e:HEV』だ。 次世代『e:HEV』では、小型/中型それぞれのシステムにおいて、エンジンやドライブユニットなどの構成部品や制御技術を刷新し、環境性能と走行性能のさらなる向上を目指す。 まず、小型(1.5L)/中型(2L)の直噴アトキンソンサイクルエンジン、フロントドライブユニット、および統合冷却システムをそれぞれ新開発し、後述する次世代中型プラットフォームとの組み合わせで、10%以上の燃費向上を目指していく。 エンジンは今後のグローバル環境規制への対応も踏まえ、出力を低下させることなく全領域において理論空燃費を実現し、出力性能と低燃費を両立する。特に1.5Lエンジンはエンジン回転数が高効率となる領域を現行型より40%以上拡大し、大幅な燃費向上を実現する。 フロントのドライブユニットはパッケージングの小型化と高効率化を両立し、小型と中型で共通部を増やすことでコストを大幅に低減し、事業性の改善にも寄与する。 また、各ドライブモードでエンジンやモーターの高効率化を図り、エンジン燃焼効率は1.5L/2Lとも最高効率を実現している。
プラットフォームも全面的に刷新
このパワートレインに、前回プレリュードで紹介した『S+シフト』を組み合わせ、ドライバーとクルマの一体感を際立たせる『操る喜び』を追求する。 また、4WDシステムは現行の機械式4WDからリアにモーターを搭載した電動4WDユニットに変更。機械式より最大駆動力を向上し、力強い発進加速を実現する。 また機械式4WDで培った前後駆動力配分を進化させ、加減速や旋回時のタイヤの接地荷重変化を捉え、駆動力配分を最適化する。さらに高精度で応答性の高いモータートルク制御を緻密にコントロールし、さまざまな路面状態でライントレース性や操縦安定性を向上させる。 こうした次世代『e:HEV』の進化に合わせ、HV向けプラットフォームも全面的に刷新する。 次世代中型プラットフォームでは、高い操縦安定性と軽量化を実現する、新しいボディ剛性マネジメントを採用した。これはコーナリング時に車体をしならせる挙動を与え、タイヤへの荷重をコントロールする新たな操縦安定性の指標を採用し、軽快で気持ちの良い走りを実現するというもの。 また、新設計方式や新軽量骨格ボディなどの採用で、重量を現行モデルより約90kg軽量化し、クラストップの軽量プラットフォームを目指す。 さらに、さまざまなモデルで高い供用率を実現するモジュラーアーキテクチャー構想で、共通部と独自部を作り分けてシリーズ開発することで、このプラットフォームを採用する車両では60%以上の共用化を目指し、コストを抑制しながらも個性的で多様なモデルを効率的に製造することが可能になる。 なお、この中型プラットフォームは、シビックやCR-VといったセダンやSUVに対応するが、ステップワゴンのようなミニバンはスライドドアなどボディ形状の違いもあり、そのままでは対応は難しいとのことだ。