【全豪オープン車いす部門開幕!】小田凱人「骨肉腫を発症して8年、17歳で車いすテニス世界一に。有言実行できたことで、自信にも繋がった」
〈発売中の『婦人公論』2月号から記事を先出し!〉 今年パリで開催されるパラリンピックへの出場を決めた、車いすテニスの小田凱人(ときと)選手。強気な姿勢が持ち味の彼は、圧倒的な実力で世界を席巻中です(構成=吉井妙子 撮影=岸隆子) 【写真】笑顔で語る小田凱人さん * * * * * * * ◆有言実行できて自信に繋がった ――2023年シーズンは、僕にとって最高の年でした。まだ17年間しか生きていませんが、引退した後も、70歳、80歳になって自分の人生を振り返った時にも、間違いなく心に残る年になっているはずです。 17歳でなぜ世界のトップに立てたのか、競技を始めてまだ7年の選手が世界ランク1位になれた秘訣は何か、と取材のたびに聞かれます。 もちろん、それだけ車いすテニスに向き合い、練習に取り組んできたことで能力を発揮できたという自信はある。「車いすテニス以外なら負けてもいい。車いすテニスでは負けたくない」と、全力を尽くしてきましたから。 でも、人やタイミングに恵まれた部分も大きいと感じています。そうしたチャンスを最大限に生かしてきたからこそ、世界一という目標に辿り着けた、と。
23年6月に行われた4大国際大会のひとつ全仏オープンの男子シングルスで最年少優勝を果たし、世界ランク1位に。7月にはウィンブルドンも制覇。さらに、10月末に中国で行われたアジアパラ競技大会でも優勝し、今年パリで開催されるパラリンピックの出場を決めた。 加えて、「全仏オープン車いすテニスシングルス最年少優勝者」「グランドスラム車いすテニスシングルス最年少優勝者」「世界ランキング1位を獲得した最年少車いすテニス選手」「ウィンブルドン車いすテニスシングルス最年少優勝者」という4つのギネス世界記録を達成している。 ――全仏オープン、ウィンブルドンの2つのグランドスラムで優勝できたことはもちろん、ギネス記録に4つも認定されたことはとても嬉しかったですね。尊敬する車いすテニス界のレジェンド、国枝慎吾さんもたくさんのギネス記録を持っていますが、最年少記録は今の僕にしか成し得ないことですから。 なかでも全仏オープンで初優勝を果たした時は、ついに目標が達成できたという安堵感が大きかったです。僕は「グランドスラムでの優勝と世界ランキング1位」を目標にして、常々「優勝します」「勝ちます」と公言し続けてきた。だから、有言実行できたことで、自信にも繋がりましたね。 「優勝します」と言い続けることは、プレッシャーにもなるし、負けた時の代償も大きい。でも、そうやって自分を鼓舞し続けていないとモチベーションも上がらないので、強気な姿勢は僕のスタイルでもあります。
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