「君が育休?」男性育休に否定的な上司が受けた“衝撃の”仕打ち 上司が男性部下の育休をよく思わない理由3つ
ベテラン社員で「普通に仕事をしていても自己研鑽を怠れば、置いていかれる感覚がある」と言う人もいるぐらいだから、まだまだ実力が伴わない若い部下が現場を離れることに、強い違和感を覚えるのだろう。 ある中小企業で、入社3年目の28歳の男性が1年の育児休暇を申請したとき、40代後半の上司は思わずこう口にした。 「気持ちはわかるけど、本当にいいのか?」 「戻ってきたとき浦島太郎状態になっても、俺は面倒みないからな」
■上司が受けた衝撃の仕打ち 本記事の冒頭で紹介した言葉は、商社に勤める男性から発せられた。この上司は男性であろうが女性であろうが、育休を取得することに難色を示す人だった。そのせいで、子どもを産むことを諦めてしまった女性部下や、転職に踏み切った男性部下までいたという。 しかしこのような態度のせいで、この上司は思わぬ事態に直面することになる。 ある日、その上司の母親が急病で倒れた。一人暮らしの母親を介護するため、上司は「介護休暇を取りたい」と会社に相談した。しかし普段から育休に理解を示さず、「仕事第一」を掲げていた上司に対し、周りの反応は冷たかったという。
「介護なんて、ヘルパーさんに任せればいいじゃないですか」 「そんなに長く休まれると、仕事に支障が出ますよ」 かつて自分が部下に言っていた言葉が、そのままブーメランとなって返ってきたのだ。「介護休暇」を取得する権利はあったものの、上司は職場の空気を読んで断念。仕事と介護の両立に悩んだ末、退職を選ばざるを得なくなってしまったという。 ■上司に判断を任せてはならない この問題を解決するには、会社からの啓発が必要だと私は思う。上司や先輩で、男性の育休を取得した経験を持つ人が少ないのだから、「それぞれの職場で臨機応変に」といった丸投げは絶対によくない。
私はたまたま離職のタイミングと重なり、長男の育児に関わった。しかしそれは「育児休暇」を取得したからではない。したがって私自身も「男性の育休」を取った経験がなく、相談相手としては不十分だ。 だからこそ会社が社外の専門家を招聘するなり、積極的に情報を提供し、理解を促す必要があるだろう。具体的には以下のような取り組みをおススメする。 (1)育休取得者の体験談を社内で共有する (2)管理職向けの研修で、育児や介護の現状を学ぶ
(3)育休取得者のキャリアパスを明確にし、不安を払拭する これらの取り組みにより、男性の育休取得に対する理解が浸透し、より多くの人が制度を利用しやすくなるだろう。 これから超少子高齢化の時代だ。「育児休暇」だけでなく「介護休暇」の需要も高まっている。前述の上司のように、自分が困ったときに周囲の理解が得られないという事態は、誰の身にも起こりうる。 だからこそ、お互いの立場を理解し、支え合える職場づくりが重要だ。男性の育休取得を応援することは、結果的に自分自身を守ることにもつながるのだから。
横山 信弘 :経営コラムニスト