「君が育休?」男性育休に否定的な上司が受けた“衝撃の”仕打ち 上司が男性部下の育休をよく思わない理由3つ
それぞれの理由について、詳しく見ていこう。 (1)育児は妻の役割という先入観を持っている 特にベテラン世代の男性は、「育児は妻の役割」という考え方にとらわれていることが多い。とりわけ妻が専業主婦や育児休業中で在宅しているケースで、夫も育休を取る必要性を理解できないのだ。 この考え方の背景には、長年にわたって形作られた性別役割分担意識がある。かつての日本社会では「男性は外で働き、女性は家庭を守る」という考え方が根強かった。特に50代以上の管理職世代は、親世代からこのような価値観を受け継いでいることが多い。
また、自分自身が育児にほとんど関わってこなかった経験も影響している。「自分の子育てのときはこうだった」という固定観念が、部下の育休取得を阻む要因となっていないだろうか。 実のところ55歳になる私も、ある事情がなければ、このような考え方に支配されていたかもしれない。その事情とは、長男が生まれた直後に退職したことだ。転職先を決めずに辞めたため、しばらくの間「無職」の期間があり、子どもの育児期と重なった。
私の両親、妻の両親から「子どもが生まれたばかりなのに、どうするの?」と責められた。当たり前だろう。しかし、妻だけは大喜びだった。子育てを分担できるからだ。 妻の期待通り、私は平日の昼間から、乳飲み子を抱えて近所の公園で過ごした。もちろん、当時の私はその後のキャリアについて不安が大きく、苦しい気持ちもあった。 だが20年以上たった今でも、妻は当時の様子を録画したビデオを幸せそうに見返している。家族にとって、かけがえのない時間だったことは間違いない。
また夜泣きが激しい息子を、妻の代わりに夜通しおんぶし、家の周りを歩いたこともある。それができたのは翌朝、会社に出勤する必要がないからだった。勤めていれば「夜泣きがうるさくて眠れない。何とかしろ」と妻に言ってしまっていたかもしれない。 だから思うのだ。もし、このように育児に携わった経験がなければ、私だって部下から育休を取りたいと申し出があったとき、 「奥さんが育児休暇を取ってるのに、なぜ夫も育休を取る必要があるんだ?」