よく聞く「老後2000万円問題」。実際のところ、どういった内訳でどんな層を想定しているの?
「老後2000万円問題」というキーワードを耳にしたことがある人は多いでしょう。簡単に言うと、老後は年金以外に2000万円が必要になるということですが、それは本当なのでしょうか。 そもそも、なぜそのような情報が広まっているのかも気になるところです。ここでは、2000万円の根拠となる収支試算と支出内訳を確認し、想定されている層の実情に迫ります。
老後2000万円問題とは? モデルケースの層とその実情
「老後2000万円問題」という言葉が広まったのは、金融審議会が公表した報告書が発端です。報告書によれば、老後に標準的な生活を送るためには、公的年金に加えて約2000万円が必要になるということです。 しかし、この内容には多くの批判が集まり、報告書は後に撤回されました。その一方で、年金額の減少、少子高齢化に伴う社会保険料負担の増加、物価の上昇といった厳しい経済状況となりつつあります。 想定していた状況が、いよいよ現実味を帯びてきているというのが実情です。老後の生活費に不安を感じる多くの人から、「老後2000万円問題」は依然として注目されているのです。
老後生活の支出内訳はどうなっている?
実際に65歳以上の夫婦が月々に必要な生活費の内訳を詳しく見てみましょう。 以下は、総務省による「家計調査報告(家計収支編)2022年」の「平均の消費支出データ」です。 ●食料/6万7776円 ●住居/1万5578円 ●光熱・水道/2万2611円 ●家具・家事用品/1万371円 ●被服及び履物/5003円 ●保険医療/1万5681円 ●交通・通信/2万8878円 ●教育/3円 ●教養娯楽/2万1365円 ●その他の消費支出/4万9430円 とくに全体の3~4割を占める食費は大きな支出です。光熱・水道などのライフラインのほか、スマートフォンを利用する高齢者にとっては通信費も見過ごせない項目です。 住居費が安くなっていますが、これは持ち家の人と賃貸住宅に住人の平均金額となっているからです。持ち家の人が圧倒的に多いので低い金額になっていますが、賃貸の場合の住居費は数万円高くなるでしょう。 さらなる高齢化に伴い、介護のための自宅リフォーム費や老人ホーム・介護施設にかかる費用なども考慮する必要があります。 「老後2000万円問題」は、高齢夫婦の生活費が公的年金だけでは賄えず、追加の資金が必要であることを如実に示しています。そのため、資金計画を立てるなど、適切な対策を講じることが重要です。
内訳が物語る「老後2000万円問題」は現実問題
「老後2000万円問題」は社会的な批判を浴びたものの、現実に日本社会は厳しい状況となりつつあります。 月々の収支と支出内訳を見てもわかるように、支出が収入を上回っている状態が30年も続くことを考えれば、老後の蓄えは重要なテーマです。夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦は、もはやモデルケースではなく、自らの問題として捉える必要があるでしょう。 出典 総務省 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部