「無理にポジティブにならなくていい」心理カウンセラーが警鐘を鳴らす、自分の感情を“否定”することが及ぼす悪影響
ネガティブな感情が湧いてしまったら…どうすればいい?
嫌な気持ちになった時、どんな行動をとりますか? 頑張り屋さんのあなたは、ついつい感情を押し殺してしまっていませんか? ポジティブでいたいのに、どうしてもネガティブな感情が湧き上がってきてしまうなんて時もあるかと思います。 “人から嫌われないための努力”は99%無駄! 精神科医がすすめる「人間関係を良くする」2つの方法 そこで今回は、2万人以上のカウンセリングを行ってきた公認心理師の大野萌子さんの著書『ネガティブな自分のゆるし方』(クロスメディア・パブリッシング)から一部抜粋して、ネガティブな感情と上手に付き合う方法をご紹介します。 ネガティブな感情でも受け入れることで、心のモヤモヤが消え、きっとまた前を向く事ができるはずです。
ネガティブな感情を一旦受け止める
良い感情も、悪い感情も存在しない 心にネガティブな感情が生まれたとき、「こんな気持ちではダメだ……」とその感情を否定する人は多いでしょう。しかし本来、人の感情に「良し悪し」は存在しないというのが心理学の考え方にはあります。 それなのに、なぜ私たちは感情を良いもの、悪いものと考えてしまうかというと、過去にあった悪い出来事に対する刷り込みが影響しているからです。 例えば「後ろ向きな発言はしてはいけない」「マイナスなことはできる限り考えない方が良い」といった周りの人からの教えや、ご自身の体験などにより、「ネガティブなことは感じてはいけない」と脳にインプットされているのです。 しかし、メンタル不調が始まる1つのケースとして、このような感情の否定から「自己肯定感」が低くなってしまうことがあります。だからネガティブ感情の視点を変える必要があるのです。 ポジティブ感情も、ネガティブ感情も、湧き上がってくるのは自然なことで、抑えられなくて当然です。だから、それを自分で否定する必要も、人から否定される不安を感じる必要もありません。 ネガティブ感情の「置き場所」を変えるには、自分の感情というものを事実として認識した上で、良し悪しを判断せずに「受け止める」ことが大切です。 湧き上がってくる感情に対して「悪いこと」「良いこと」と区別するのは、今日からやめましょう。 ・「今日の私は落ち込んでいる」 ・「昨日の上司に対して、私は今もモヤモヤしている」 ・「夫の発言で私は悲しくなった」 例えばこんな感じで、感情を事実として受け止める習慣を意識してみてください。 次回は、実際に行なっているコミュニケーション研修の内容を解説します。
〈著者プロフィール〉大野萌子(おおの・もえこ)
公認心理師/2級キャリアコンサルティング技能士/産業カウンセラー 一般社団法人日本メンタルアップ支援機構代表理事、企業内カウンセラーをはじめとす る相談業務において2万人以上のカウンセリングを担当。また長年の現場経験を生かし、 人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメント教育を得意とする。官 公庁・企業・大学などで講演・研修を6万人以上に実施。著書にシリーズ51万部を突破した『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑(サンマーク出版)』ほか、『世界一受けたい授業』などメディア出演多数。
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