メラニンを減らしても肌は白くならない?化粧品研究・開発者が白さについて科学的に解説
◆どんな肌に白っぽさを感じるのか まず光が目の前の肌に入っていくところから考えます。 その時はすべての波長を含む「白い光」が入っていると仮定します。 そして角質層の水分や油分を通り抜け、細胞やセラミドに接触しつつ、表皮最下層である基底層にあるメラニンに接触して一部の波長が吸収されつつ、一部の光は毛細血管中の赤血球で赤く発色し、様々な場所で反射や屈折をくり返して、もと来たルートを逆にたどり、肌の外に飛び出し、目に肌の色情報を届けます。 この時、目に届く光の量が多ければ、明るい色を感じ、さらに多いと、白っぽく見えてきます。 なぜなら一部の波長が吸収されるからといって、すべて吸収されるわけではないからです。 写真家の中では光量が多すぎる写真を「白ボケ」と表現することがあります。 どんな写真も明度を上げ過ぎるとすべての波長が現れて白っぽくなっていきます。 ただ肌の場合は発光しているわけではありませんので、やや白っぽく感じる程度でしょう。 できるだけ多くの光が目に届くような肌には明るさや透明感、白っぽさを感じることになります。 逆に肌内部で屈折や散乱を起こしすぎると光量が下がるだけでなく、解像度も下がり、ぼやけてしまいます。 肌の色というものが肌の状態を伝える情報であると考えると、肌の内部が光をスムーズに通すような状態、つまり屈折や散乱を起こさないような透明感を持つ状態であれば、より正確な情報を手に入れることができます。
◆情報を正確に伝える透明感 ここで「透明」について正確に捉えてみたいと思います。 透明とは一言で言えば「物質の境目が無い状態」のことです。 このように言えば、岩も境目が無ければ透明になるのか、と思いますがその通りです。 岩が透明に見えないのは、結晶と結晶の境目(ヒビ、亀裂、界面)が無数にあるため、そこで光が屈折し、さらに光の吸収も起きるため、なかなか光が通り抜けられないからです。 逆に結晶がきれいに成長すれば透明に見えますし、一部の波長の吸収がきれいな発色となり、宝石が生まれることになります。 その点、液体はよく混ざり合い、境目が生じにくいため透明になりやすい状態です。 液体に含まれる粒子が十分に小さければ、透明に見えます。 牛乳は分散している粒子が大きいため、光の散乱が起きて白く見えてしまいますが、メロンソーダは成分の粒子が十分に小さいので透明に見えます。 ということは、肌も細胞の結晶がきれいで、成分が十分に小さければ透明に見えるのでしょうか。 その通りです。 実際にクラゲだけでなく、中南米のグラスフロッグなど透明で体内が透けて見える生物はたくさんいます。 しかし透明な肌は紫外線の破壊力をダイレクトに受けますので大変危険です。 私たちのような一見透明に見えない肌でも、わずかに侵入してくる紫外線で肌が損傷を受け、いわゆる「物質の境目」が生じてきます。 たとえば角質細胞間に隙間が生じ、そこで光の屈折が起き、「くすみ」となります。 光の屈折が水と空気の境目でよく起きることは、池の水面を通して水中が見えにくくなる体験のとおりです。
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