会社設立の成否を握る「事前準備」とは?【司法書士が解説】
会社設立は、新たなビジネスをスタートさせる大切な一歩です。しかし、手続きや準備を誤ると、思わぬトラブルやコストが発生し、事業運営に悪影響を及ぼすことがあります。会社設立で失敗を防ぐためのポイントとして、今回は「徹底した事前準備」を見ていきましょう。設立支援実績1,000社以上の加陽麻里布氏(司法書士法人永田町事務所 代表)が解説します。
会社設立の目的や将来像を明確化し、設立後の計画を練る
会社設立は、新しい事業をスタートする夢の一歩です。成功には周到な準備が欠かせません。計画が不十分だと、設立後に多くの問題に直面し、余計なコストや時間を浪費してしまうこともあります。そこで今回は、設立前に押さえておきたい「徹底した事前準備」を網羅的かつ具体的に解説します。準備の重要性と具体的なアクションが明確になり、安心してスタートを切ることができるはずです。
1.会社設立の「目的」を明確にする
設立の第一歩は、「なぜ会社を作るのか?」という目的をはっきりさせることです。目的が曖昧だと、経営の方針や判断がブレる原因になります。 ・自分のビジョンを明文化 「何を目指し、どのような価値を社会に提供するのか」を具体的な言葉にしましょう。 例)地域密着型の飲食事業を展開し、健康志向の食文化を普及させる。 ・ミッションとゴールを設定 初年度の売上目標や市場でのポジションを数値で表すと、行動計画が立てやすくなります。
2.ビジネスモデルを明確化する
どれだけ良い商品やサービスを提供しても、収益モデルが不明確では継続的な事業運営は難しいです。次の点を徹底的に詰めましょう。 ・ターゲット顧客の特定:誰に価値を届けるのか、年齢層やニーズを具体的に設定します。 ・競合分析:市場における競合他社をリサーチし、自社がどのように差別化できるかを考えます。 ・収益構造の設計:商品単価やサービス料金、コストと利益のバランスを確認します。
3.資金計画の策定
会社設立には初期費用や運転資金が必要です。資金不足は事業の最大のリスクとなるため、詳細な計画を立てましょう。 ・設立費用の見積もり:登録免許税や定款認証費用、オフィス契約費などをリストアップします。 例)株式会社の場合、登記費用約20万円+その他費用で約30万円 ・運転資金の確保:事業開始後3~6ヵ月分の資金を準備しておくと安心です。 ・補助金・助成金の活用:地域や業種ごとの補助金をリサーチし、活用しましょう。