市原市役所、ネットワークサービス「Wrap」を本格運用--行政事務の生産性向上図る
千葉県市原市役所は、クラウド型ネットワークサービス「Wrap(ラップ)」を採用・本格運用し、行政事務の生産性向上に取り組んでいる。提供元のユニアデックスが発表した。 市原市役所は、テレワークやリモートワークなど柔軟で効率的な新しい働き方を実現するため、クラウドサービスの利用に切り替え、Wrapを職員約1700人のPCに導入した。これにより、職員が場所や時間にとらわれずに能力を発揮できる柔軟な働き方を推進している。 市原市役所は、2020年にオンプレミスで構築・運用していたファイルサーバーなどの更改時期を迎えるに当たり、テレワークやリモートワークといった新しい働き方を視野にクラウドサービスの利用に切り替えた。その当時、新型コロナウイルス感染症対策として導入していた従来のテレワークシステムでは、同時接続数の制限や複雑な設定方法などが原因で職員のニーズに対応しきれず、問い合わせ対応による負荷も増大するなど運用面での課題が多くあった。 業務効率の観点でも課題があったテレワークシステムに代わるソリューションとして、複雑な設定が必要なく、場所を問わず安全に庁内ネットワークを利用できるWrapを高く評価し、採用を決定したという。 市原市役所は同サービスの導入に当たり、2023年1月から段階的にテレワーク実施率の高い部署の職員、管理職など約200人、2023年4月からは職員約1700人を対象に、概念実証(PoC)を実施した。PoC終了後の庁内アンケート調査での評価が高く、2023年8月にWrapの導入を決定し、2024年4月から本格運用を開始した。 従来のテレワークシステムでは、庁内で使用する業務PCと自宅で使用する個人所有PCのそれぞれで設定作業を行う必要があった。また、使用するPCや通信環境に依存してしまうなど、利用に至るまでに手間が多いことが課題だった。Wrapではソフトウエアを端末にインストールするだけで、安全な庁内ネットワークに接続できるため、以前のように「設定方法が分からない」といった問い合わせもなくなり、スムーズな運用管理が可能になったという。 Wrapは、TCP/IP上で動作する全てのプロトコルを安全に通信できる。そのため、業務PCを自宅のネットワークに接続するだけで庁内ネットワークにつながり、庁内と同じ環境で業務が可能になる。 さらに、平時のテレワークだけでなく災害などの緊急応対時にも、安全に庁内ネットワークに接続でき、円滑な情報共有が実現する。実際に令和6年能登半島地震の支援の際にも、市原市役所職員が業務PCを持参し、庁内との業務連携に活用した。