auの新料金プラン「使い放題MAX+」「スマホミニプラン+」が登場、これまでとの違いや特徴は?
au PAY、au PAY(ゴールド)カードとの連携を売りにした「auマネ活プラン+」が、12月3日にスタートしました。これは、前回分析したとおり、ゴールドカードを契約していれば、無理なく還元を受け切れるのが特徴の料金プランです。一方で、KDDIはこのタイミングに合わせて、決済・金融サービスとは連携しないいわば“普通の”料金プランも改定してきました。「使い放題MAX+ 5G/4G」がそれです。 【画像】使い放題MAX+の料金体系。基本料は、220円の値上げになった また、小容量を利用するユーザーに向けた段階制の「スマホミニプラン 5G/4G」も、「スマホミニプラン+ 5G/4G」に改定しています。一見すると、金額的には改定前の料金プランとはあまり変わらないように見えるこれらの新料金プランですが、既存のユーザーは乗り換える必要があるのでしょうか。ここでは、それら新料金プランの特徴をひも解いていくとともに、KDDIの狙いを見ていきたいと思います。 ■ 「+」がついて料金もプラスに? 割引やテザリング容量もアップ プラン名に「+」がついた使い放題MAX+ですが、auマネ活プラン+ほどの大きな変更はありません。各種割引を適用した後の金額は、どちらも4928円です。一方で、旧料金プランである使い放題MAXと比べると、やや割引の比重が高くなっています。代わりに上がっているが、正規価格とも言える割引前の料金。使い放題MAXが7238円だったのに対し、使い放題MAX+7458円と、220円値上げされています。「+」は料金がプラスになるという意味だったのか……と思う向きもあるでしょう。だとすると、なかなか正直な料金名です(笑)。 割引適用後の料金が同じになるのは、「家族割プラス」で3人以上の場合の割引額が、1100円 → 1210円に増額されているのと、「au PAYカードお支払い割」が110円 → 220円に増額されているため。この2つの割引で、基本料を値上げしたぶんが相殺される仕組みです。そのため、家族3人以上で契約しつつ、料金をau PAYカードで支払っていれば、使い放題MAXから使い放題MAX+に変えても支払う金額は変わりません。注意したいのが、単身で契約している場合や、支払いに別の会社のクレジットカードを使っている場合です。 例えば、単身で契約し、かつ料金をau PAYカードで支払っていたとすると、家族割引が増額されている恩恵を受けきれないため、料金は110円上がってしまいます。au PAYカード以外のクレカで支払っている場合も、110円の値上げに。後ほど触れますが、データ容量にも違いがあるため、あえて料金プランを変更するメリットは薄いと言えます。これからauを契約するユーザーは選択肢がない一方で、既存ユーザーは様子見をしてもいいと言えるでしょう。 さらに、使い放題MAXは毎月のデータ使用量が3GB以下だった時に1650円が自動で割り引かれていましたが、使い放題MAX+では、この閾値が1GBに変更されています。元々大容量プランを契約している人が3GB以下に収まるのはまれかもしれませんが、海外出張などが多い月に、国内でほとんど通信しないというケースは考えられます。使い放題MAX+では、このような時の割引が受けづらくなっていると捉えることができます。 ここまでだといいところがないように見えてしまう使い放題MAX+ですが、テザリングなど、スマホの通信以外を利用している場合には、恩恵もあります。料金以外で「+」になっているのは、この部分。これまでの使い放題MAXは、テザリングやもう1枚のSIMカードと容量をシェアする「データシェア」を利用した際に、30GBまでという制限がありました。使い放題MAX+では、これが60GBへと大幅に緩和されています。 テザリングでガンガンPCを使いたいような時や、iPadなどのタブレットで使うデータシェアの容量が30GBでは足りないといったような時には、使い放題MAX+に変更するメリットが出てきます。家族3人で契約し、かつau PAYカードで料金を支払っている人は料金も変わらないため、テザリング、データシェアの容量アップが効いてきます。この部分を評価するのであれば、既存のユーザーがプラン変更する価値があると言えるでしょう。 ■ 注意したい200GB制限、パックプランもそれぞれ改定 ただし、もう一点、注意したい制限があります。それが、200GB制限です。使い放題MAX+では、新たに200GBという閾値が設けられ、これを超えた場合には通信速度が5Mbpsに制限されます。これまでの使い放題MAXには容量で区切った制限はなかったので、プラン変更をするのであれば、毎月200GBを超えていないかどうかは事前に確認しておいた方がいいでしょう。ソフトバンクの「ペイトク無制限」や「メリハリ無制限+」にも同様の200GB制限があり、超過時には通信速度が4.5Mbpsに絞られます。 KDDI、ソフトバンクはこれを公平性のためとしています。一部のユーザーが使い過ぎてしまうことを防ぐために設けられた制約というわけです。スマホだけで通信している限り、200GBを超えるケースは少ないため、多くのユーザーが“無制限に近い感覚”で使えるのも事実です。一方で、混雑時に速度を絞るといった形ではなく、一律200GBで速度に制約をかける以上、それを果たして無制限と銘打っていいのかという点には疑問符もつきます。 確かに5Mbps出ていれば動画の視聴も十分可能。クラウドゲームのような要求の厳しいアプリケーションも、安定して5Mbps出てさえいれば動作することがあります。とは言え、オンラインストレージやアプリストアからデータをダウンロードするスピードは、明らかに遅くなります。Googleフォトのようなサービスに動画をアップロードするといったケースでも、その影響を受けるでしょう。無制限とうたった方がインパクトがあることは理解できますが、より正直にユーザーと向き合うのであれば、200GBプランと言い切った方がよかったような気もしています。 ちなみに、使い放題MAX+で5Mbpsに制限されるのは、あくまでスマホでのデータ通信が200GBを超えた場合。テザリングやデータシェアで60GBを超えると、通信速度は128Kbpsに制限されます。こちらは、より制限が厳しくなっており、ブラウジングなどの比較的軽い通信でも時間がかかってしまうおそれがあります。モバイル回線を使った固定通信代替の据え置き型Wi-Fiルーターの代わりにするのは少々難しいと言えるでしょう。使い放題と言っても、あくまでスマホの中で完結した通信であることは念頭に置いておきましょう。 旧料金プランの使い放題MAXは、コンテンツをパックにした料金がありましたが、使い放題MAX+にもこれは引き継がれています。コンテンツを割安で使える上に、テザリングやデータシェアの容量も緩和されるため、PCを接続したり、タブレットでガンガン通信をするといったような時には、こちらを検討してもいいでしょう。「Netflix」「Telasa」「Amazonプライム」がセットになった「Netflixパック」などは80GB、これらに加えて「AppleMusic」や「DAZN」「YouTube Premium」などが加わった「ALLSTARパック」は100GBまで、スマホ以外の通信を利用できます。ただし、こうしたパックプランでも、200GBという制約は変わりません。 ■ 一部値下げになるが基本料が大きく上がったスマホミニプラン+ もう1つのスマホミニプラン+も、旧料金プランであるスマホミニプランと比べて基本料が値上げになっています。その値上げ幅は、使い放題MAX+より大きく、1GB以下の場合の料金は3465円 → 4708円、3GB超の場合は6215円 → 8008円にもなります。1GB以下の場合で1243円、3GB超の場合で1793円もの値上げになっているというわけです。値上げ幅が大きいのは、使い放題MAX+と同様、割引額が上がっているからです。 スマホミニプラン+では家族割プラスが1100円、auスマートバリューが1100円と、それぞれ550円だったスマホミニプランから倍増しています。また、187円の割引だったau PAYカードお支払い割も187円 → 220円になり、割引が増額されています。よく言えば割引を増やしたと言えますが、基本料が上がっているため、そのメリットはあまりありません。逆に、単身で契約するには少々高い料金プランになってしまった格好です。毎月のデータ使用量が少ない場合は、迷わずUQ mobileなどのサブブランドを検討した方がいいでしょう。 3GB超の料金が特に上がっているのは、最大のデータ容量が4GB → 5GBに増加しているためと推察できます。1GBデータ容量増えた代わりに、3GBを超えた場合が一律で値上げになったというわけです。1GB以下の場合、割引適用後の料金はどちらも2178円と変わっていない一方で、3GB超の場合は4928円 → 5478円へと値上げされています。これだと、3GBを少し超えただけの人は料金プランの変更で損をすることになりかねません。 また、スマホミニプランは4段階で料金が変動する料金プランでしたが、スマホミニプラン+は3段階になり、1GBを超えた時の料金がひとまとめになりました。スマホミニプランは1GB超2GB以下が4565円、割引適用後は3278円だったのに対し、スマホミニプラン+では1GBを超えると次の閾値が3GBになり、基本料も6358円へと一気に上がります。割引適用後の料金は3828円。毎月の料金が2GB弱に収まっていた人には値上げになっています。 一方で、メリットがないわけではありません。それが2GB超3GBの場合。スマホミニプランではこの料金が5665円、割引適用後で4378円だったのに対し、スマホミニプラン+は上記のように1GBを超えると3GBまで料金は変わらず、6358円です。割引を適用すると3828円まで下がるので、2GB超3GB以下で割引が適用されれば、スマホミニプラン+の方が値下げになると言えます。 このように見ていくと、4GBを超えて使いたい時や、毎月のデータ使用量が2GB超3GBに収まる人には、スマホミニプラン+がフィットしそうです。一方で、このぐらいの容量であれば、先に挙げたようにUQ mobileを選択した方がベター。オンライン専用ブランドでよければpovo2.0を選択するという手もあります。データ使用量が少ない人は、メインブランドに固執しない方がお得になるケースは多いため、この改定を機に料金プランだけでなく、ブランド選択も見直してみることをお勧めします。
ケータイ Watch,石野 純也