ランボルギーニはなぜカッコいいのか? 新型「テメラリオ」のお披露目でデザインディレクターが明かした舞台裏とは
ランボルギーニは、誰が見てもすぐわかる。1974年の「クンタッチ」から最新の「テメラリオ」にいたるまで、デザインDNAを大切にしているからだ。さきごろ来日した、デザインディレクターのミティア・ボルカート氏が語るランボルギーニのデザイン哲学が面白かった。 【画像】国立競技場で発表された「テメラリオ」とキャボルカート氏。 ミティア・ボルカート氏は、2016年に、ボローニャ近郊サンタガタにあるランボルギーニ本社に隣接したチェントロスティーレ(スタイリングセンター)に入り、いまはデザインディレクターの肩書きでデザインを統括している。 ランボルギーニの前はポルシェでエクステリアデザインディレクターを務めていて、「パナメーラスポーツツーリズモ」、「ボクスター(987のフェイスリフト)」、「カイエン」、「マカン」、「ミッションE」などを手掛けてきた。 フォルクスワーゲングループのデザインを統括していたワルター・デシルバ氏による人事で、ランボルギーニのチェントロスティーレに移籍してからは、「ウルス」と「レヴエルト」、それに今回の「テメラリオ」という量産(といっても数は多くないけれど)モデルを担当。 ランボルギーニのプロダクトは、発表されると決まって、大いなる話題を提供してきた。理知的でいてエモーショナル。各所に天才的なひらめきを感じさせつつ、機能性が失われていない。
「ランボルギーニのデザインが万人向けでないのは意図的です。そうしないと、図抜けた存在になりませんから。クンタッチを世に出した70年代は、高性能のスポーツカーといえばフェラーリとポルシェぐらいしかありませんでした」 でも、いまはちがいます、とボルカート氏。米国のモンタレー・カーウィークや、英国のグッドウッド・フェスティバルオブスピードといったイベントに登場する最新のスーパースポーツカーの数の多さを挙げる。 「そこにあっても、一目でランボルギーニとわかるクルマをデザインしなくてはなりません。スーパースポーツカーのデザインにもある種のトレンドがありますが、ランボルギーニのデザインはあえて一線を画しています」 多くのハウスデザイナーたちがある方向へ流れていくなら、ランボルギーニのデザインは逆へと向かいます、とボルカート氏は、自信に満ちた態度を見せながら言う。 「いまの世のなか、情報があふれていますから、私たちのデザイナーも知らず知らずのうちに、ある種のトレンドに意識が侵されるようなことだってあります。それはデザインプロポーザルに表れます。そんなとき私はずけずけと言うことにしています。オーケイ、きみたち、このデザインはアレに似ていないか、こっちのデザインはあっちのアレだな。いいかい、私が欲しいのは、タイムレスなデザインなんだ、と」 タイムレスなデザインこそ、ボルカート氏がランボルギーニの造型で常に意識していることだ。