Netflix上陸でどうなる? テレビと融合で変革するネット動画配信サービス
オリジナルコンテンツの制作による差別化戦略
もうひとつの変化が、動画配信サービスがオリジナルコンテンツの制作やテレビと融合を強化しているという点です。 Huluを例にすると、同社は2014年末にコンテンツ制作部を立ち上げ、今年4月には木梨憲武さん(とんねるず)が出演するアートバラエティ番組『木梨憲武 Inspiration Only』の配信を開始。また、6月19日にはHuluと日本テレビが共同製作したオリジナルドラマ『THE LAST COP/ラストコップ』の第1話を『金曜ロードSHOW!』(日本テレビ系列)で放送し、放送直後から第2話をHuluで配信するというテレビとネット配信を融合したプログラムを展開しています。 同作は、ドイツで2010年から2014年に放送されて大ヒットした人気海外ドラマ『ザ・ラストコップ(原題:DER LETZTE BULLE)』を日本向けにリメイクした作品で、その脚本の面白さと、人気俳優の唐沢寿明さん、7月からドラマ『デスノート』で主人公キラを演じる窪田正孝さんの演技に注目が集まり、テレビ放送は関東地区で視聴率12.9%を獲得して同時間帯トップになったほか、Huluでも人気ランキングでトップになるなど成功を収めています。なおHuluによると、この『THE LAST COP/ラストコップ』は7月24日まで毎週金曜日に一話ずつ追加配信し、その後は全話視聴可能になるとのことです。
これまで、動画配信サービスは映画やドラマなどの映像資産を持っているコンテンツホルダーに動画配信の場所を提供するプラットフォームとして機能してきましたが、これに自分自身で制作したコンテンツを加えることで、サービスに独自性や競合優位性を加えようという動きが活発になってきています。 こうしたオリジナルコンテンツを制作・配信する狙いについて、日本テレビの担当者は「こうした協業は、放送媒体以外のコンテンツ制作ノウハウを蓄積する絶好の機会であり、オールデバイス向けのコンテンツメーカーに成長することができるのではないかと期待しています。また放送事業者としては、放送と配信の組み合わせがネット世代である若年層を中心に コンテンツ訴求を深め、放送と配信の相互送客が一層強固になりうると考えています」とコメント。テレビ局と動画配信事業者の間にノウハウの共有や相互層客といった相乗効果が生まれることに期待を寄せています。 一方、Huluの船越雅史社長もこの“相乗効果”に期待を寄せており、「これからの時代は、地上波、BS・CSだけでなく、Huluのようなオンライン動画配信サービスがテレビのコンテンツを届ける新たな担い手のうちのひとつになるのではないかと考えています。この協業をきっかけにして、“ネット配信にふさわしいコンテンツ”を試行錯誤しながら、動画配信サービスにどのようなコンテンツが適しているのか検討していきたいですね」とコメント。今後は日本テレビだけでなく、他のテレビ局やコンテンツプロダクション、配給会社など、さまざまなコンテンツ制作パートナーとともにコンテンツ制作に取り組んでいきたいとしています。