Netflix上陸でどうなる? テレビと融合で変革するネット動画配信サービス
テレビとの融合が、動画配信サービスの新たな転換点に
この放送業界の参入は、国内の動画配信サービスに大きな転換点をもたらしています。その動きのひとつが、テレビ番組のネット配信拡大です。 これまで動画配信サービスと言えば、映画、海外ドラマ、テレビアニメなどを楽しむためのサービスというイメージがありましたが、ここに国内で放送されているテレビ番組を期間限定で配信する、いわゆる「見逃し配信」が加わり、これまで動画配信サービスに関心の薄かったユーザー層を取り込み始めています。在京テレビ局に目を向けると、NHK、民放各社が公式に動画配信サービスを運営して見逃し配信を行っているほか、日本テレビは2014年にHuluを買収して既存のサービスに加え、放送した番組の見逃し配信を強化。背景には、リアルタイムでテレビ番組を視聴できないユーザーを視聴者として取り込みテレビへの関心を高めることと、横行するテレビ番組の違法アップロードを防止したいといった意図が考えられますが、近年進むテレビ離れを食い止められるかが注目されます。 ちなみにNHKと民放各局は、見逃し配信以外にも過去のテレビドラマやドラマ以外のジャンルの番組などを積極的に動画配信サービスに提供しているほか、これまでCS放送でしか番組を視聴できなかったチャンネルも動画配信サービスに番組を提供しており、視聴できる番組のジャンルは動画配信サービスが盛り上がり始めた当初から大幅に多様化していると言えるでしょう。 この点について、Huluを運営するHJホールディングス合同会社社長の船越雅史氏は、「以前はテレビ放送と通信との融合は、テレビ視聴者の減少に繋がるのではないかという漠然とした不安感がテレビ局側にあったのですが、徐々に番組コンテンツをネット配信する試みが増えてきています。Huluでも2015年5月に在京テレビ局6局のコンテンツが揃い、いつでも、どこでもテレビ番組が観られるようにすることで、テレビに対する関心の高まりや視聴率に貢献できているのではないかと感じています」とコメント。また今後はドラマやアニメだけでなく、バラエティ番組なども増えてくるのではないかとしています。 一方、日本テレビの担当者は違法アップロードに対する考えとして、「モバイルデバイスの普及などを背景に違法アップロードへの対策は急務であり、今年の1月から3月には民放連(日本民間放送連盟)で放送番組の違法配信撲滅に向けた統一キャンペーンを展開するなど、積極的に啓発活動を行っています。こうした動きは、テレビ局が公式に放送番組の配信に注力し始めている理由のひとつであることは間違いありません」とコメント。視聴者が安心してテレビ番組をネット視聴できる環境を整えることで、違法アップロードをするそもそもの理由を排除してしまおうという意図が読み取れ、今後の効果が期待できます。