リッチモンド連銀のバーキン総裁

（ブルームバーグ）： 米リッチモンド連銀のバーキン総裁は、インフレ状況の進展について楽観的な見方を示す一方、物価圧力を強め得る潜在的リスクを挙げ、闘いは終わっていないと述べた。

バーキン総裁は10日、バージニア州ノーフォークで開催されたイベントで、「間違いなく正しい方向に進んでいる」と話しながらも、「勝利宣言はしない」と続けた。

インフレが根強くなり得る要因について問われると、中東の紛争に加え、利下げにより住宅需要が供給を上回る可能性を挙げた。

ただ、「インフレ状況の進展を停滞させるようなことがいくつも起こり、実際に多くの進展があったという事実があいまいになることは避けたい」と付け加えた。

最近の経済指標は物価上昇圧力の全体的な緩和と底堅い景気を示している。しかし、10日に発表された９月の消費者物価指数（ＣＰＩ）は予想以上に上昇した。バーキン氏は同ＣＰＩについて、なお検証中だとしながらも、住居費の鈍化などは歓迎できる側面だと述べた。

４日に発表された９月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数の伸びは全ての市場予想を上回り、失業率は予想外に低下した。この結果、米金融当局が労働市場の潜在的リスクに対処するのが遅れているとの懸念が和らいだ。

同月の雇用統計について、バーキン氏はイベント後のインタビューで、賃金の伸びは減速しつつも、雇用主が人員を削減したがらない状況を反映していると論じた。「雇用統計は、私が聞いていることを裏付けている。雇用が少なく、解雇が少ない環境にある」と語った。

さらに、新型コロナウイルスのパンデミック（世界的大流行）からの回復期における力強い賃金の伸びは、生産性の向上を伴っていると指摘。つまり、「単位労働コストはインフレ圧力を押し上げていないということだ」と説明した。

連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）は９月の会合で政策金利を0.5ポイント引き下げ、4.75－５％に設定した。これに賛成票を投じたバーキン総裁は「抑制的な政策スタンスの緩和に向けた再調整」と表現。「３歩で行くか４歩で行くか。はたまた２歩あるいは１歩でいくか、さほど気にも留めなかった。方法はいろいろある」と話した。