聖望学園、細田学園にウノゼロ勝利で首位堅守
強豪高校10チームで争われる高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ2024埼玉県S1リーグは10月5日、第16節の2試合が行われた。2連敗中の聖望学園は細田学園を1-0で破り、勝ち点を37に伸ばして首位の座を守った。リーグは10月6日に残り3試合が実施され、全国高校選手権予選のため約1カ月半中断し11月24日に再開する。 【フォトギャラリー】聖望学園vs細田学園 4-2-3-1の聖望学園は前線、中盤から執ように重圧を掛けて相手ボールを奪っては、ショートカウンターやサイドアタックから細田学園の堅陣を揺さぶった。 前半6分、ボランチ小山晃也(3年)が右から持ち込んで左に外れる惜しいシュート。19分には左2列目の原嶋佑哉(3年)が左から強烈な一撃を見舞ったが、いずれもわずかに枠を捕らえられなかった。 それでもボール保持率で上回っていた聖望学園は20分、小山がMF田中翼(2年)の右からのパスを蹴り込んで先制。23分に田中、34分にもボランチ遠藤浬(3年)がいずれも鋭い弾道のシュートを放ったが、主将の名GK米山巧馬(3年)に捕球されて追加点を奪えなかった。43分に右2列目の野元里晟(3年)が蹴った右CKから、右SBペイトン有玖主(3年)が放ったヘッドも、わずかに右ポストをそれていった。 3-4-2-1の細田学園は、ボランチの並木俊輔(3年)を中継地点に攻撃を展開し、ともにシャドーの三上蓮恩と原慧悟(3年)が、ドリブルでの突破を試みた。三上は佐賀県で行われた国民スポーツ大会(旧国民体育大会)、少年男子埼玉選抜の一員として活躍した2年生だ。最前線では大型FW稙田琉斗(2年)が最終パスを待ったが、なかなか生きたボールが届かず決定的な得点チャンスは訪れなかった。 後半は聖望学園がややボールを握る割合が高かったものの、ほぼ互角の内容で推移した。 聖望学園は3分に右FKからエースFW太仲貴哉(3年)がヘディングシュート。太仲は23分にも右からのパスを反転しながら決定的シュートを打ったが、GK米山の正面を突いた。 細田学園は10分、稙田が右から持ち込んで絶好のシュートを打ったが、左ポストをかすめる。15分にMF桑颯馬、FW平井聖七(ともに3年)を送り込んで攻めに変化をつけ、30分には両ウイングバックを同時に代えて突破口を切り開こうとした。終盤に何度からCK、FKでは長身CB高久琉我(2年)らがターゲットになったが、主将のCB菅野陸斗(3年)を中心とする聖望学園の守備を打ち崩せなかった。 首位を堅持した聖望学園の山本昌輝監督は、「細田学園との対戦はいつもロースコアなので、こういう展開は予想できた。優秀なGKがいるので細田から点を取るのは大変ですよ」と述べ、難しい試合をものにして連敗を2で止めた喜びに笑顔が絶えなかった。 前半戦を7勝1分け1敗の首位で折り返し、8月24日に始まった後半戦も第13節まで4連勝。5節からの連勝記録を9にまで伸ばし、初優勝に王手をかけるところだった。ところが14節で正智深谷に3-5と大敗すると、15節でも昌平セカンドに0-3の完敗を喫した。 山本監督は「優勝を意識しないようにしたが、正智深谷戦あたりから硬さが出てきてしまった。王様でもないのに横綱相撲を取ろうとして難しい状態になった。うちの良さは最後まで走って汗をかくことなので、この1週間は原点に返って練習しました。それが今日の結果に出たと思います」とチーム情勢を説明した。 失点の少なかったこれまでの試合は、全員が高い守備意識を持って相手と競い合ったそうだ。しかし守備ラインをまとめる菅野は、「大敗した2試合とも積極的な守りができず、受けて構えることが多くなった。昌平に負けた後、みんなで意見交換して悪かったところを見直したんです」と、この日の無失点を喜んだ。指揮官も「1-0という勝利は自信になる」とイレブンを褒めた。 リーグは残り2試合の終盤戦に入り、12月1日に立教新座、同8日に浦和南と対戦する。 10月13日には全国高校選手権埼玉予選が開幕し、聖望学園は2年続けて国際学院と1回戦で顔を合わせる。菅野は「どの相手でもどの試合でも、チャレンジ精神を忘れずに戦い抜きたい」と手綱を締めた。 (文・写真=河野正)