佐山聡、小川直也と四半世紀ぶりに再会 改めて語った師匠・猪木の本音「嘘が真になればいい」
「あれが(A猪木の)常識」(小川)
動画によると、小川としては「謎のガイジンがUFO(世界格闘技連盟)に来たって。(内心は)笑いながら、こっちは真剣な顔をしなきゃいけない」と思っていたそうだが、佐山はあの頃の、師匠の変装好きを含めた印象をこう振り返った。 「センスあるって言っていいのか。何でも当たるっていうか。よくああいうことを考えるなっていうか。そういう天才かもしれない。常にいろんなことを考えていた。これは売れるとか。失敗談もあるけど」 ちなみに今回、小川は佐山との対談で、猪木の真意を「よく、嘘を真(まこと)にすればいいって感じだったですよね」と話していたが、「そうだね、真になっちゃうんだよ」と佐山が呼応する。 以下、二人のやりとりを書き記す。 小川「(猪木の)口癖が、嘘が真になればいいって。でも、ホントに、こんなこといいの? あんなこといいの? ってことを先駆者である佐山さんが翻訳してくれるから」 佐山「(柔道界にいた)オーちゃん(小川)からすれば、すごい世界の話だよね」 小川「非常識でした」 佐山「俺から見ても非常識だよ」 小川「そうだったんですか! でもあれが(A猪木の)常識なんですよね」 それにしても25年ぶりに再会した両者の対談を見て思うのは、猪木、佐山、小川というプロレス界が産んだ偉大なトリオの関係が、わずか3年で終わってしまったこと。これは今考えても非常に残念だったとしか言いようがない。 小川はそこから新日本プロレスでの橋本真也との抗争の後、ゼロワンを立ち上げた橋本に協力し、“OH砲”として活躍。2004年から立ち上がった「ハッスル」に関わりながらPRIDEでのMMA戦でも話題を提供し、2007年以降はIGFに参戦すると、再び師匠・猪木と共闘していく道を進む。 一方、佐山は“初代タイガーマスク”の熱狂的な支持者に支えられながら、改めてプロレス界に「ストロングスタイル」を根付かせるべく奮闘していく。 今回の対談は、「1・4事変」(1999年1月4日、東京ドーム)について両者が触れたことはもちろん、プロレス界的にも刺激的な内容が随所に散りばめられていたが、最も衝撃的だったのは、佐山が小川との対談の冒頭に発したこの言葉に集約されていたように思う。 「やっとオーちゃんに会えた」 佐山が小川に対し、この言葉を発するのに、25年の月日が必要だったのかと思うと、さまざまな思いが去来する。 また、対談が始まった直後に佐山が発した、「いいヤツなのよ。ワザとヒールみたいなことをやっているけど、実際は全然違って」と小川を評する佐山の眼力にも敬服する。 ともあれ、両者の対談がアントニオ猪木のライセンスを管理する「猪木元気工場(IGF)」で行われ、猪木の象徴のひとつでもあった“闘魂棒”を手にしながら、四半世紀ぶりに“再会”を果たせたことは、誰よりも師匠である猪木を笑顔にさせたと確信する。 そして願わくば、この“再会”が今後につながる一条の光になる展開に転がっていくことを強む望む。 (一部敬称略)
“Show”大谷泰顕