ＫＯ負けし医師、レフェリーの手当を受ける辰吉寿以輝

　ボクシング東洋太平洋スーパーバンタム級タイトル戦が12日、東京・後楽園ホールで行われ、元WBCバンタム級王者・辰吉丈一郎（54）の次男で東洋太平洋スーパーバンタム級6位の辰吉寿以輝（28）＝大阪帝拳＝が同級王者の中嶋一輝（31）＝大橋＝に2回2分13秒TKOで初黒星を喫し、王座獲得はならなかった。 　プロ18戦目で初のタイトル挑戦だったが、2回後半に中嶋の左ストレートをまともに食って棒のようにダウン。意識を失ったところを見てレフェリーが即座に試合を止め、担架に乗せられて退場する壮絶なKO負けだった。これで16勝10KO1敗1分けとなった。 　医務室で意識は回復し、歩いて控室に戻ったが、試合の記憶はすべてない状態だという。リングサイドから見守った父・丈一郎は「案の定かなあ。失神して、それ以上ひどくならずに済んだからよかったんちゃうかな」と、辛口に評価。だが「後遺症はないやろ。これをええもんにするか、最悪やったと思うかは本人次第。もしおやじ流、辰吉流に言うなら、俺ならリマッチ（再戦）するな。負けて強くなるのが辰吉」と、独特の表現で息子にエールを送っていた。 　対して会心の勝利を手にした中嶋は「1回にボディーストレートが入ったので、下を打つようにして上に打ちました。冷静にやれたのがよかったです」と声を弾ませた。WBA12位、WBC14位と世界ランクも持つ王者はこれで17勝（14KO）2敗1分けとし、さらに評価を上げた。