自分を否定してばかりの人も自分を愛せるの?「セルフラブ」の習得方法
幸せを築く
自分のスケジュールに合う療法を探していたら、友達がラピッド・トランスメーション・セラピー(RTT)というものを教えてくれた。彼は、この方法で失恋で失った自信を取り戻すことができたらしい。RTTは、自分が感じる根本的な理由を明らかにする上で役立つハイブリッドセラピーだ。 問題に焦点を当てる他のセラピーと違い、RTTは、その問題を引き起こしている思い込みや行動の起源を特定するのに役立つ。その効果を証明するデータは(多数の体験談以外に)ないけれど、医科学専門誌『Biology, Engineering, Medicine And Science Reports』に掲載された2021年の論文を読む限り、RTTはホリスティックな療法として、恐怖症や睡眠障害を含む幅広い問題の解決に役立つ可能性がある。 2時間のZoomセッションでRTT療法士のケイト・ホイル氏は、私の子ども時代の話に耳を傾け、マーデン氏と同じように、両親の幸せは子どもの責任ではないと言って私を安心させた。大人になったいいまの自分は、もう仲間はずれの子どもじゃないというホイル氏の言葉にも救われた。セッションのあとにはパーソナライズされた音声ファイルが送られてきて、1日1回、少なくとも3週間は聞くように指示された。 その音声ファイルでは「私は十分」というマントラが繰り返された。私は、このマントラをノートと付箋に書いてアパート中に貼ることになっている。聞く回数は守ったけれど、マントラは「私はもっと良い人生を生きていい」というものに書き換えた(「私は十分」だと変わる必要がないように思えてしまう)。音声ファイルとマントラのコンビネーションで、私の自分に対する見方が上書きされることを願う。 いずれにせよ当面は基本的なステップを踏むしかない。まずは、メガネを買い替えることから。私は子どもの頃からメガネをかけているけれど、いつも見えれば十分と思っていたので、自分に似合うメガネを探したことがない。だから、今回はオーダーメイドのメガネブランドTom Daviesで作ってもらった。こんな風に自分を思いやるのは生まれて初めて。 次に私は、セントラルロンドンの小洒落た高級ヘアサロンJo Hansfordで髪を切った。メガネに関してもヘアスタイルに関しても、私は自分で決めるという責任から自分自身を解放し、店員さんに全部任せた。そうすると、鏡の中の自分の姿にビックリできる。 外見を整えた私は仕事に手をつけ、編集者が自分の仕事を褒めてくれたときのメールを保管するフォルダを作成し、そのフォルダに“フィードバック”という名前をつけた。でも、この名前はいつか“称賛”に変えたいと思っている。このフォルダにメールを振り分けるのが毎晩の私の楽しみ。この数年間は、寝る直前に自分が感謝していることも唱えてきた。今日の私は、どんなに小さな成果も軽視しない。自分がしたくないことに「NO」と言うのも、健康診断の予約を入れるのも、友達にも電話するのも立派な成果。私はこれを直感的に始めたけれど、マーデン氏いわく、ポジティブなフィードバックを読み返し、自分の成果を認めるのは、自尊心の醸成に役立つ。 同僚のメガネ発言は、私が何年も検討していたプロセスを実際に始めるための最後のひと押しだった。あれから12週間。もうすっかり改心し、友達に話す感じで自分にも話せるようになったと言いたいところではあるけれど、古い習慣はなかなか消えないのが現実で、アパート中に貼られた言葉を信じられるようになるのにも、まだ時間がかかりそう。ホイル氏によると、私はネガティブな思い込みを捨てるのに長い時間を要するタイプの可能性があるそうだ。私の自己批判癖は徐々に消えていくしかないのかもしれない。でも、この努力が私の中にいるいじめっ子を黙らせて、もう私を傷つけられないことに彼女が気付く日はやってくる。そのときは、彼女が永遠に去ってくれることを願わずにいられない。