「手仕事で組み立てた唯一無二の存在」...《名車を知り尽くしたフォトグラファー》が憧れを禁じ得ない「特別なクルマ」の正体
秦氏の「愛車遍歴」
15年以上にわたり世界の名車を撮り続ける日本人フォトグラファーがいる。秦淳司氏だ。 【マンガ】外国人ドライバーが岡山県の道路で「日本やばい」と驚愕したワケ 秦氏は伝説的デザイナーであるラルフ・ローレン氏(85)の秘蔵コレクションの取材やイタリア・モデナにあるフェラーリ博物館での撮影も行うなど、車の美しさを知り尽くした日本人の一人だ。 前編記事『「世界にたったの2台、50億円以上の名車も...」《世界的デザイナー》ラルフ・ローレン氏の愛車コレクションを撮影した日本人フォトグラファーが見た「名車の本質」』につづき、そんな秦氏を魅了してやまない『特別なクルマ』の正体をお伝えする。 数々の名車撮影を行う秦氏だが、自身も根っからの車好き。ホンダの「シティカブリオレ」、フォルクスワーゲン「ゴルフGTI」「アバルト595」、ミニの「ジョンクーパーワークス」を乗り継いできたという。そんな愛車遍歴で特に秦氏が思い出深く語ったのがフォルクスワーゲンの「カルマンギア」だ。秦氏が語る(以下、「」は秦氏)
「この見た目がカッコいいでしょ?」
「私が乗っていたのは1950年代のカルマンギアでした。やっぱりすべてアナログのもので組み合わさっているヴィンテージ車だと一つのパーツが故障して新しくすると他の部品がそれに追いつかなくなってくるという現象が起きるんです。緩く年を取ることで均整が取れていた車が一つのパーツが新しくなるだけでドミノ倒しのようになって、終盤はメンテナンス場に預ける時間が長くなり、心苦しく手放しました。カルマンギアは90年代の後半から2010年まで乗っていましたね」 これまで数々の名車を撮影してきた秦氏。なかでも羨望のまなざしを向けるのがイギリスの自動車メーカーであるジャガーだ。 「私はジャガーのeタイプが好きです。車のデザインって機能や空力にも気をかけなければいけないはずですが、それを超越して『この見た目がカッコいいでしょ?』と語り掛けてくるようなスタイルに惚れ惚れします」 一方、日本車ではこんな名車を挙げる。