「中学受験はうちの子には不要」と考える親が「大正解」である決定的な理由【池上彰の未来予測】
「世界的に例をみない少子高齢化社会」「異常気象」「終身雇用制度の崩壊」「AIの台頭」 社会の変化のスピードがはやまり、誰しもが未来や人生の見通しが立てられない時代となっています。 日本に生まれること=幸福以外のなにものでもないはずでした。それは、もう過去の話なのでしょうか。 変化の激しい時代を生きる子供たちを育て、 遠い未来だった「老後」が少しずつ現実味を帯びてきているオトナサローネ読者にとって、 自分たちの将来はもちろん、子供たちが生活する未来の姿を想像するとなおさら不安が押し寄せます。 私たちの、日本の、未来は果たして―。 そんな永遠に解消できないような不安の中で生きている私たちに、よりどころとなるようなお話をしたいと思います。 新刊『池上彰の未来予測 After 2040』(主婦の友社刊)で、池上彰先生がつづっている未来の話から、自分たちが、日本が明るい未来を迎えるためには、今からどう行動していけばいいのかを、考えていきましょう。 今回は、子供の将来に関わる教育について。変化がはやいこの時代に、私たちが子供の頃受けてきた教育は今の子供たちにとっても最適なのでしょうか? はたして今すべき教育とは?
2040年に働き盛りとなる今の子どもたちに必要なのは“幅広い教養”
変化のはやい時代になり、スーパーのレジなど当たり前にあった仕事が減っていき、AIにまつわる新しい仕事が増えたり、と 人間が担う仕事の内容や種類も変わりつつある今の時代。 子供が将来、自立をして飯を食える大人になるために、今身につけるべきことは何なのでしょうか。 「子どもが進路について考えるとき、『こんなに何教科も勉強する必要はある? 将来役立つスキルに絞って勉強したほうがいい』と考える子などがいます。 これに関する答えとして、大人としては『ひとつのことに没頭するのもいいけれど、子ども時代には興味のないことにもいろいろと触れてみて、視野を広げたり、教養を身につけたりしてほしい』と考えます。 社会に出て働くとなれば、スキルはもちろん重要になります。教養はいずれじわりじわりと役に立ち、生涯使えるものなのです。たとえば『寿司職人になりたいから勉強なんか必要ない。早く修業して一人前になりたい』という進路の決め方も、もちろんいいでしょう。 しかし、『いずれ自分の店を持ちたい』という夢もあるのなら、経営について学ぶ必要があります。魚などの仕入れ値が変動すると店の利益率はどうなるのか、多くのお客様に来店してもらうためにはどういうマーケティングや広告活動をすべきなのか。最低限の経済学の知識や社会動向を知っておかないと、経営はうまくいきません。 大人になっても必要な「教養」は軽視せず、学べる機会に、自ら積極的に学んでほしいと思います」 「変化」は時にネガティブに捉えられがちですが、終身雇用時代の終わりを前向きに捉えれば、自分なりのアイデアやスキルを生かし活躍できる時代になるということでもある。 仕事の選択肢が増え、今後ますます転職でキャリアアップすることが当たり前な世の中となるなら、幅広い教養を身につけることが自己実現していくにあたり今以上に、重要になっていくのかもしれません。